ラスボス登場(!?)

さて、あのリア充たちはどうなったかというと、


――なぜか評価されていた。

あのリア充ども、町の奴らに


「実はドラゴンを倒したのは私たちでしたー!」


などといいやがって、ああ!やっぱそうですよね!よかったよかった!とか言われ、ついには銅像まで作られるという。


――どういうことだってばよ。


「てめぇ!」

俺はリア充に話しかけた(というのか?)。


「なんだじじい」


「お前!銅像作られるんだってなぁ!」


「そうだけど?」


「そうだけど?じゃねぇよクズが!ドラゴンは俺が倒したはずだぞ!」


「証拠」


「?」


「そういう証拠あんのかって聞いてんだよ」


「ムキ―ッ!!お前らひろゆきっづじゃねぇか(自主規制)!」


…もはや会話のキャッチボールとか、そんなものはなかった。


「まぁ、お前がどんだけ『どらごんはおれがたおしましたー』とか言っても、『あーはいはいそうですかわかりましたよー』とか言われるだけだよ、なんだから」


「クソー!!クソクソ!お前らどうせうんこくってたりするだろ!!このうんこマンが!うんこうんこうんこ野郎がーーーー!!」


――たぶん、今俺を見ている人の102%が俺を赤ちゃんと見間違えるだろう。


「赤ちゃんかよ…」


リア充は絶句している。

そして去っていった。


――その時だった。


「グハハハハハハハハ」


「!?」


その瞬間、俺の視界は闇に包みこまれた。


「私は、この世界でのラスボス、チチチーチ・チーチチだ」


「チチチーチ・チーチチ!?」


「ちなみにお前の父親だ」


「急なカミングアウト!?」


俺の父親だと?本当だとすれば、

…だいぶベタな展開だな。


「あ、だから『チチ』の『チ』で父父チチチーチ父父チーチチということか!」


「ご名答!」


「で?何しにここに来た?」


「世界を滅ぼすのだ!」


「?」


「私はこう考えた。『あれ?ラスボスいなくね?』と」


「???」


「だから、この世界はたぶんゲームの世界だ。そしてラスボスがいなければ、このゲームにクリアはないのだ!つまり、私がラスボスとなり、このゲームにクリアを作った!」


「???????」


「つまり…何が言いたいかわかるか?」


「わからん」


「全部言ったけどな…よし、ではもう一度話そう!私はこう考えた。『あれ?ラスボスいな(以下略)」


「…つまり、パパもこの世界に迷い込んで、このゲームをクリアして、抜け出したいというわけか」


「そゆこと!」


そして父父チチチーチ父父チーチチは去り際にこう言った。


「勇者無職よ!早くラスボスの私である、チチチーチ・チーチチを倒しに来るのだ!ハッハッハッハッハ!!」


「何が『チチチーチ・チーチチ』だ!パパの名前は山口 札人でゅえんちゅのはずだぞ!」


俺の声は届いたのかわからない。でも、ラスボスを倒せば、クリアして、この世界を抜け出せる(と思う)から、そのラスボスの存在になってくれたパパを、心の底で感謝していた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る