覚醒

爆発が跳ね返った?俺は何も魔法を唱えていないし、そもそも知らないから使えない。


「お前ぇぇぇぇぇ!!!」


また飛んできた、でも跳ね返った。


「何度やったって同じじゃない?」


「てめぇ、何しやがった?」


「いや別に俺は何も…」


「現に俺らに跳ね返っただろうがクソタワケ!お前…」


はっ!俺はあの「隠しスキル」を思い出した。


「まさかとは思うが…、これのせいか?」


リア充が俺に真っ先に駆け寄った。


「こ、これは…」


「うそでしょ…?」


「「隠しスキル!?」」


二人の声が重なった。


「てめぇ!隠しスキルなんてもってやがったのか!無職の癖に生意気な!」


「ちがう!これはたまたま持っていただけだ!」


「まぁいいわ。所詮無職よ。こんなやつすぐに死ぬ」


「そうだな。無職は(自主規制)だもんな」


はっはっはっはっは!!二人は笑った。


一方で俺は考えた。

――あれ?このスキル使えば、普通に敵倒せるるんじゃね?


うーん。まぁいっか!普通に敵倒せるっしょ!別に死んでもリアルに死ぬわけじゃない(と思う)し!


そして俺はダンジョンに行くことにした。




そこでまたリア充と会った――違う、会ってしまった。


「あれー?ダンジョンなんかきて勝てるのー?むーしょくさーん?」


「うっせ!」


俺はダンジョンを突き進んだ。そして、


「うわーーーーーー!!!敵だーーーーーー!!」


そういったのはリア充どもだった。

――出てきたのはドラゴンだった。


「やばい、こいつ!明らかに強そう!」


「ファイア!ファイア!ファイアーーーー!」


むろん、その攻撃は当たらない。そしてドラゴンは襲い掛かってきた!


「うわーーーーーーーーーー!!!」


そして、俺たちはドラゴンにやられ、死んでしまうのだった―


――そういう結末かと思いきや、違った。ドラゴンが爆発した。


「な、何が起きた?俺たちは、何も魔法を唱えていない」


「つ、つまり…」


「「あの無職の隠しスキル!?」」


またもや見事に声が重なった。


「そうみたいだな」


俺がそういうと、あいつらはいきなり土下座をした。


「今まで馬鹿にして申し訳ございませんでした!」


「何でもしますので、私たちの仲間になってください!」


お願いします!お願いします!お願いします!


だが、その懇願は、俺にとっては右から左である。


――俺は言った。


「あのー、今更仲間になってほしいなんて言われても無理なんですけどww」


奴らは絶望していた。


――もちろんそれは俺にとって、ひたすら爽快なシーンであった。

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