第39話 入学試験 開始

「皆さん、試験用紙は配られましたか?」

 試験官の男はそう言う。


 時は少し過ぎ、レイドたちはそれぞれ分かれて試験会場に行くことになった。

 まずは筆記試験。それから、実技試験という形だ。


「あのー、試験用紙が白紙なんですが・・・」

 受験生の一人がそう申し出る。


「大丈夫です。試験開始と共に、魔術によって文字が浮かび上がります」

「そんな魔術があるんですか!?」


「はい。カンニング対策の為に、別角度からのぞくと見えないように細工もしてあるので、くれぐれもその様な行為をやめて下さいね」


 流石は王立学院、高度な魔術が使えることが羨ましい。


「さてと・・・ 開始三十秒前、三、二、一、よーい始め!」 


 すると、テストから魔方陣が浮かび出した。

 みるみる文字が現れてくる!


(よし、ここら辺はエレーヌと全て予習している!)

 レイドはすらすらと試験問題を解き始めた。


 中には魔術に関する問題も出ているが、何か複雑な気分だ・・・

 分かるんだが、どうせ使えない。


「そこまで! 試験問題を回収する!」

(うおっ! 文字が全部消えた!?)


 しばらく経った後、試験問題は再び白紙に戻り、書くことが出来なくなった。


「うわぁ・・・ 何も書けなかった・・・」

「まあ五割はいけたかな・・・?」

 人によって反応は様々だな。


「試験結果は三十分後に発表する! 基準を突破したものだけが、二次試験、実技に進む!」


 戦えても学園には入れないということか。

 レイドはおぼつかない様子で時が過ぎるのを待つのだった・・・



「お待たせしました。今から結果を返却致します」

 先ほどとは違う試験官がやってきた。

 すると、さっきまで白紙だった試験問題から再び文字が浮かび上がる。



 レイド・フォン・ユーラル


 試験結果 165/200 

 順位   30/456


 基準の150位を越えたので、一次試験通過です。


(よし、まずは突破だな!) 


「また落ちた・・・ もう諦めるか・・・」

「危なかった~ 142位だ!」


「では、合格者は学園闘技場まで案内します。付いてきてください」

 レイドは試験官に付いていくのだった。


「ここが闘技場か・・・ なんて大きさだ・・・」

 観客は一万人ほど入れるだろう。バイセン家の庭よりも広い気がする。


「おっ! レイド、合格していたのか!」

「カイン! お前、筆記試験に合格できるほど賢かったんだな・・・」

「さすがに俺様を舐めすぎだぜ!」


 カインはドヤ顔をして見せた。


「・・・ちなみに、何位だ?」

「・・・148位」


 あーね、まあ分かってたけど。


「それより、エレーヌは見なかったか? マリーとかも」

「ああ、それならあっちにいるぜ」


 カインが指さした先には、エレーヌ、マリー、レシティアがいた。


「みんな、こっちにいたのか」

「あ! レイド! 無事に突破したんですね!」

「ああ、エレーヌのおかげで何とか受かることが出来た。ありがとう」


「・・・ま、まあ これぐらい当然ですよ」

 エレーヌ・・・ 照れてるのか・・・?


「ちょっと! まだ実技試験を突破してないわよ! そういう話はまた後!」

「レシティア・・・ そうだ、筆記試験はどうだったんだ?」

「ふふーん! 良く聞いてくれたわね!」


「え!? 一位じゃないですか!」

 なんと、レシティアはトップ成績で試験を突破していたのだ。


「レシティア様は勉強は凄くできるんだ」

「ほら! マリーもそう言っているわよ! わたくしは天才だから!」


「レシティア、人間は勉強だけじゃなく中身も重要だからな?」

「はぁ!? 貴方はどうせわたくしよりも成績が低いんでしょう!」

(そういうところなんだよな・・・)


「皆さん! 静粛に!」

 どうやら次の試験官が到着したようだ。


「今から、実技試験を開始する!」


 実技試験は毎回内容が変わる。

 一対一のトーナメント戦や団体戦など、そのレパートリーはかなりの数がある。


「今年の試験内容は、二人一組に組んでトーナメント戦だ!」


「マジかよ・・・ 組む相手なんて決めていないぞ・・・」

「トーナメント戦かぁ・・・ 強い相手と当たらないといいな・・・」

 受験生たちは動揺している。


「エレーヌ、組まないか?」

「もちろん良いですよ」


「わたくしはマリーとよ!」

「レシティア様、共に頑張りましょう!」


「ん? カイン?」

「・・・やべぇ、何にも考えていなかったぜ・・・」


 カインの顔は真っ青だ。かわいそうだが、ルールだからな。


「それじゃあな、カイン。俺たちは登録しに行くからお前は頑張って相手を探せ」

「おいっ!? 俺を見捨てる気か? 何とかしてくれよ!」

「大丈夫だって、それじゃあな~」


「おおおおおおいい!!」

 カインの悲痛の叫びが響き渡るのだった・・・


 


 ~あとがき~  


 ここまで読んでくれてありがとうございます!


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「続きが気になる!」


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