第10話文化祭の練習相手とインフルエンザ

 夏休みが終わって2学期になると、運動会があって、そのあと3年生以上の学年は文化祭がある。その練習が始まったのであるが、このころになると妹は破壊魔と化しており、姉と私にとって大事なものは下に置いておけなくなり、私は全部机の中にしまい込むようにしていた。それでも妹が伝い歩きができるようになると、しまいには机の中を開けるようになってきたので、勝手に開けられないように鍵をかけなければならない羽目になった。まだ1歳にも満たないが、脚力と腕力は意外と強い。

 そうこうしているうちに姉の文化祭の劇のセリフの練習が始まった。私に練習相手を頼むので、私も二つ返事で引き受けたが、台本を見てみると3年生で習う漢字が含まれていて、私が読めないでいると、姉から読み方を教えられて、思わぬ形で3年生の漢字を覚えることとなった。私が練習相手になったおかげか?姉は本番でもセリフがスラスラと言えて、大成功だったようである。


 その文化祭が終わると季節は秋から冬へと移り、冷え込む日が多くなってきた。その日は朝から少しのどに痛みがあり、少し体もだるい感じがしていたのであるが、熱はなかったので学校に行った。しかし学校が終わって家に帰ると完全にダウンしてしまい、急いでかかりつけの病院で診察してもらうと、インフルエンザに感染していたようである。家に帰って頓服を服用して寝たのであるが、高熱が出て当然のことながら外出は禁止。家でおとなしく寝ている以外何もできない状態となった。テレビも見られないし、本も読めない。しばらくは布団の上で寝てるしかないのであるが、どうしてもトイレに行きたくなる。当時の我が家のトイレは外にあったので、夜は真っ暗な中を歩いていかなければならず、、熱で頭がふらつく中、真っ暗な外に出るのは危ないので、父か母に一緒についてきてもらうこととなった。そのインフルエンザが治るまで1週間ほどかかり、幸いほかの家族にうつすこともなく、久しぶりに学校に行くと授業は先に進んでおり、テレビも見られなかったので友達の話にもついていけなくて

「風邪なんか引くもんじゃないな」

と改めて思った次第である。この時は確か40℃近いが出たのではなかったかと記憶している。熱にうなされて、意識がもうろうとしていた時もあったそうで、今になって思えば、インフルエンザ脳症とかにならなくて済んで、本当によかったなと思う次第である。

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