第2話:三人のニンフ。

そう言うとおじさんは地べたになにやら魔法陣みたいなモノを書き始めた。

書き終わると僕に言った。


「この丸の中心に座りな」


僕は言われるままの魔法陣の真ん中に座った。


「動くんじゃないぞ」


そう言うとおじさんは一個の小ぶりの宝箱を持ってきて、それを僕に渡した。


「なんですか、この宝箱みたいなもの?」


「女にモテないおニイさんに、わしからの細やかなプレセント・・・、


それは自分の世界に帰ってから開けな」


「開けたからって、いきなり煙が出て年寄りになったりしないから」


「いいか、行くぞ」


そう言うとおじさんは、なにやら呪文を唱え始めた。

その呪文が最後まで聞き取れないうちに僕は目の前が真っ黒になった。


で、気がついたその場所は・・・僕の部屋だった。


「僕は生き返ったのか?」


しばらくは放心状態で、さっきまで自分に起こったことは夢だったんじゃ

ないかって思った。

でも俺は、おじさんからもらった小ぶりの宝箱をしっかり抱えていた。

間違いない、僕はさっきまで異世界にいたんだ。


落ち着いたところで、おじさんからもらった宝箱中になにが入ってるのか?

そんなの開けずにはいられないだろ?


でさっそく僕は恐る恐る宝箱を開けた。


そしたら中に、それぞれの色が違ったボールがみっつ入っていた。

ピンクにイエローにバイオレット。


そのみっつのボールはゆっくり宇宙に浮くと、それぞれ「パ〜ン」って弾けて

中から、ふわっと女の子が現れた。

みっつのボールが一斉に弾けて、現れたのは・・・なんと女の子?


「まじで?」


女の子が、三人・・・?・・・しかもほぼ裸に近いし・・・。


「こんにちは・・・私たちニンフ「精霊」」

「今日からお世話になります」


「え、うそ・・・お世話になるって?どういうこと?」

「そうか、モテない僕のためにおじさんが用意した細やかなプレセントってこれ?」


「楽しみましょ?」

「毎日、私たちと楽しいことして過ごしましょうね?」


我慢できなくらい可愛くて色気たっぷりのピチピチのギャルが三人。


一瞬思った、女三人相手に毎日楽しめるなんて下半身がざわつくよなって・・・。


でもそれは一瞬だった。

毎日だよね・・・この三人と・・・僕は三人と絡んでる自分の姿を想像した。

彼女たちを毎日相手するなんて無理だ。


箱開けちゃったしな、今更この三人もう向こうの世界には返せないんだよな?

僕はこの子たちとこれから一緒に暮らすのか?・・・。


モテなかった僕がいきなり女性に不自由しなくはなったこの環境を否が応でも

受け入れるしかなくなった。

こう言うのをありがた迷惑って言うんだろうな。


さて、せっかく僕のところに来た可愛いニンフちゃんたち。


って言うか、もうニンフちゃんたち、部屋中にフェロモン出しまくりだから

フレーバーな香りが部屋じゅうに充満してり・・・鼻がおかしくなりそう。

部屋中に芳香剤ぶちまいたみたいな状態。

慣れるまでしばらくかかりそうだな。


まずはピンクの玉から現れた、髪がピンクでロングでナイスバディーで色気

むんむんなニンフ・・・お名前が「リリエルちゃん」


イエローの玉から現れた髪がイエローでショートで可愛い系をアピールしてる

ニンフ・・・お名前が「ルリエルちゃん」


バイオレットの玉から現れた髪が紫でツインテールでクール系をアピールしてる

ニンフ・・・お名前が「ロリエルちゃん」


みんな果物の精霊らしい。

ニンフって精霊に関して僕は少ししか知らない。

一応ファンタジーや昔の伝承なんかは好きで子供の頃から読んでだことがあったので、その存在は多少は知っていた。


ニンフって精霊について、改めてネットで調べてみて・・・僕は頭を抱えた。


めちゃエッチい精霊だって書いてあるし・・・。

ニンフってのは女神アルテミスに従って山野に遊び暮らしてる精霊。

処女神とは正反対に性に対してはめちゃ積極的。

有力な神々の寵愛を受ける一方、サティロスといった好色な山羊たちとも戯れ、

人間の男にも目がない。


要はエッチい精霊なんだ。

エッチしないと、そのうち干からびて死んでしまうセックスが飯より好きな

精霊らしい。

まあ、これは現実の話じゃない・・・あくまで伝承の中の話だろ?

だいいちニンフが存在するなんて思ってもみなかったし・・・。


って安心してる場合か・・・今、現に僕の部屋にニンフが三人もいるじゃないか?

そんなことをしてる間にも、彼女たちは僕にくっついて絡んでくる。

頭から体のあっちこっちまで触られまくりだし・・・。

どうしたら離れてくるのかな?


やっぱりエッチしてやらないと、彼女たちのエロい攻撃は収まらないのかな?

やれやれ嬉しいような迷惑なような複雑な気持ちだな。

この分だと僕がニンフちゃんたちより先に干からびそうだよ。


おしまい。


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精霊の詰め合わせ。 猫野 尻尾 @amanotenshi

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