精霊の詰め合わせ。

猫野 尻尾

第1話:サチュロスの恩返し。

一話完結です、ある意味、僕の願望でもあります。(=^x^=)


僕は某、高校に通ってる男子。

クラスの女子の誰からも告られたことがないモテてない男子だった。

まあ、イケメンでもないしね・・・。

たぶん、そのまま人間界にいたら情けないまま青春時代を終えていただろう。


そんなある日のこと・・・。

僕は学校の帰り、歩道を歩いていていきなり突っ込んできた車に跳ねられた。

で、気が付いたら見たことのないような場所に来ていた。


周りを見て、すぐに人間が住んでる世界とは違うって思った。

どこかの山の上?

眼下に草原が広がっていて森があって遠くに王宮みたいな建物も見えた。

ここは人間界じゃない。


なにがあって、どうなってこんなところにいるんだ?

ここは?・・・なんだ僕は生まれ変わったのか?

おおそうか・・・僕は事故に遭って死んでこの世界に転生したのか?


僕が目覚めたところは一軒の小屋の前で、なにも分からず佇んでいる

ところを、その小屋の人に声をかけられた。

見たところ、まじで?って思うくらい人間とはほどとおい生き物。


ほぼ裸に近い格好だし・・・痩せぎすで顔色も体の色も悪い。

頭にヤギみたいなツノが生えて、下半身もヤギみたいな足をしていた。

なんかフンタジーの書物とか昔の絵で見たころある気がした。


「おニイさんは人間の世界から来たんだろ?」


「え?なんで分かるんですか?」


「うん・・・おニイさんみたいな人間らしき生き物が、時々ここへやって来る

ことがあるからな」


「あの、つかぬ事をお聞ききしますが、ここは?なんて言うところなんですか?」


「ここか?・・・ここはクレタって山の中だ」

「まあ、ここじゃなんだから、家の中にはいらんか?」


で、怪しいおじさんの家に招待された。


「おニイさんこそ、なにドジ踏んでこっちに来たの?」


「あ、僕「山田 勇気やまだ ゆうき」って言います」

「高校生です、って言っても分かりませんよね」


そこで僕は俺僕の個人的情報となにが起こってここに来たのかを、その怪しげな

おじさん話して聞かせた。


「なるほどね、気の毒・・・事故も気の毒だけど・・・」

「女にモテないってのは男として致命的だな・・・人生半分以上損してるぞ」

「かっこ悪い話ですけど・・・モテたいっていつも思ってました」


「そしたら向こうの世界にまだ未練があるよな?」


「はい、生き返れるもんなら生き返りたいです」

「それに僕、こんな右も左も分からないところで生きていけないですよ」


「おニイさんが望むなら向こうの世界に返してやれんことも・・・あ」


「来た、来た、来た・・・」

「あ・・・ちょっと待った・・・あたたたた」

「う〜・・・・苦しい・・・・!!」


そう言っておじさんは、そこにうずくまってしまった。


「えっ?急にどうしたんですか?・・痛いって?どこか悪いんですか?」


「悪いね、今朝から腹が痛くて痛くて・・・食中毒かもしれんな」


「食中毒?・・・」

「あ、そうだ俺のカバンの中に胃腸薬入ってるからそれ飲んでみます?」


「胃腸薬?・・・ってなんだ?」


「食中毒やお腹の調子が悪い時に飲めばよくなるんです」

「大丈夫ですから、僕もよくお腹が痛くなるから常備してるんです」


ってことでおじさんに胃腸薬を飲ませてあげた。


「悪いね・・・わしは牧羊神だ、サテュロスとも言うんだが、この山で、

幼い精霊たちを育てて暮らしてるんだ」


「牧羊神?・・・サテュロス?」


サテュロスはギリシャ神話とかに登場する半人半獣の自然の精霊。

いたずら好きだが無害な生き物で性に特化した精霊でもある。


僕の薬のおかげかどうか分からないけど、おじさんはすっかり元気になった。


「その薬まだたおおうりありますから、ここに置いていきます」

「もしまたお腹が痛くなったら使ってください」


「そんな貴重なモノをわしにくれるのか?」

「おニイさんのおかげでウソみたいにすっきりしてるよ、あんたのおかげだな」

「わしはちょっとした魔法が使えるで、腹痛を治してくれたお礼にあんた

が今一番望んでること叶えてあげるよ」


「そんなこと出来るんですか?」


「ああ、出来るよ?」


「できたら僕は俺の生きてた世界に、もう一度帰りたいです」


「そう言うと思ったよ」

「じゃ〜お望み通り返してやるかな」


そう言うとおじさんは地べたになにやら魔法陣みたいなモノを書き始めた。

書き終わると僕に言った。


「この丸の中心に座りな」


つづく。


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