第23話 不死身

「っ!!?何が起きた!!」


眉間を狙って撃った矢は剣で叩き落とされた。しかもあの司令塔っぽい女にだ。毒が回っていた筈だ。碌に動けなくなっていた筈なのに矢を叩き落とされた事を認識すると既に奴は隣に立っていた。


瞬時に弓で剣を受け流す。


「いつ場所バレたのか。毒が回っている筈なのに何故動けるのか。いろいろ聞きたいがそんな余裕は無さそう。」


僕は受け流している体勢のまま鳩尾に蹴りを入れ、相手を罠の中へと吹き飛ばす。


「チッ、少し弦が切れてる。持つかな…。」


多少距離が取れれば速射で近接の対応は出来る。狙うは手首腕肩の三つ。確実に武器を奪う。


「マジか。クソゲーじゃん。」


速射で狙い通り手首腕肩を射抜いたが奴は武器を落とさない。物理的に武器が持てなくした筈なのに武器から手を離さない。しかも、蹴り飛ばした先にあった罠に刺さって腹に風穴が空いているのにだ。普通死んでる。死んでなきゃおかしい。

ほんの少しの動揺した隙に空間が歪んだのかと錯覚する程の速度で距離を詰められ、防御姿勢を取る前にその凶刃は既に振り下ろされていた。


「読み間違えな。…ただの弓使いが近接で不死身の化け物に勝てる訳ないだろ。」


次の瞬間僕の右肩から左の横腹に掛けて猛烈な痛みと熱が走る。赤く鉄くさい液体が体からとめどなく溢れ続け、熱さから寒さに変わる。


「…ただお前も読み間違えた。狩人はどれだけ腕に自信があろうと1人では狩りをしない。」


ここからはバトンタッチかな。


「不死身。」


僕はそれだけ言い残すと寒さに震えながら意識を失った。


ーウンディーネ視点ー


私の目の前でシル君が斬られた。相手は明らかに致命傷を受けている。シル君の矢が身体に何本も生え、腹には風穴が空き、矢の刺さってる場所からしても武器を持てる筈が無い。


「化け物。私のシル君に傷を付けたんだから死んで同然よね?」


私は一瞬で距離を詰めると物理的に動けない様に両足を蹴り折る。抵抗が出来ない様に両腕を握りつぶす。


「タダで死ねると思ってるの?私は同胞に手を出されてもどうでも良いけど、シル君に手を出したらタダじゃ済まさない。地獄も生ぬるい生き地獄の中で死ね。ただ、シル君の読み通りなら他も不死身かも知れないし他の奴の首を落としてからにするわ。あ、これお借りしますね。」


私は他の奴らが地面を這ってる場所へと足を進める。


「ふーん。やっぱり貴方達も不死身なのね。ただ不死身だからってそれに頼ってちゃ初見じゃ無い私には勝てないわ。」


私はあのアマから奪った剣を片手に4つのゴミを処理しようと走り出した。

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