第17話 認識の違い
ディーネが作った夕飯を食べ終え、宿の共用の風呂で身体を流し部屋に戻った。
「久しぶりの水浴び気持ち良かったー。確認だけど、次の目的は教国が持つと噂される技術の確認と事実であった場合は教国との交渉で良いよね?」
一応、今後の動きについてディーネに確認を取る。
「その辺はシル君に任せるよ。そう言うのは私より向いてるし…。でも帰る前に絶対シル君の腕を切り落とした奴の関係者は皆殺しにするから忘れないでね。」
ディーネはニコニコと笑いながら頷き肯定したがその目は全く笑っていない。今直ぐにでも奴らを殺させろと訴えている。
今突撃した所で勝ち筋は無いし、何も出来ずに虚しく散るだけってのは分かってるはずなのに油断も隙もない…。
「少なくともあの鎧は生まれてきたことを後悔するレベルの壮絶な死を与えるつもりだから忘れないよ。狩りは複数の退路を用意し、相手の退路は塞ぎ、確実な勝ち筋を進むのが最低条件だから下準備は大事。入念な下準備をするからには絶対に逃さない。」
「…たまに思うけどシル君って敵に回すと厄介なタイプだよね。滅茶苦茶陰湿だし自分から敵の前に姿を見せるのは既に詰んでいる合図。しかも他と違って準備も手順も早くて最短。本体を叩こうにも武器を持つと距離を詰めることすら難しい。やっとの思いで詰めたら蹴り飛ばされたり、急に方向を変えて逃げたり距離を詰めるのすら愚策になるし…。初見だと絶対に負ける。」
実際シルフの齢がまだ一桁の際に行った模擬戦では経験も対人戦闘技術も何もかも上回るウンディーネが惨敗している。手加減などしていないのにも関わらず傷一つ付けることが出来なかったが回数を重ねていくうちにウンディーネが圧勝するようになっていった。
因みに今も模擬戦を行った場合ウンディーネが圧勝するが、殺しても構わない状況又はそれを目的とした場合シルフが圧倒する。それだけシルフの狩りや対人戦の才能はウンディーネを遥かに上回っているが致命的に手加減が下手くそなのである。
「陰湿は流石に酷くない!!?獲物に逃げられたらその日のご飯無いから確実な方法を取ってるだけだし、確実な方法がない場合勝率がより高い方法を選んでるだけだよ!?」
あまりの言いように思わず反論する。僕は相手を確実に仕留める為に自分自身すら囮にしたり手段を選ばないだけで決して陰湿な訳じゃない。
「でも獲物側はそれされると詰むし、やり方があまりにも…ね?」
「酷い風評被害!!」
「風評被害じゃなくて単なる事実だと思うけど…。」
「ふん、いいもーん。僕は陰湿ですよー。もう寝るもん。不貞寝するもん。」
もう説得は諦めて毛布に包まって先に寝る事にする。
「あ、ちょ、待ってよー。」
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