ー幕間2ー 公家の秘密とエルフの正体
ークレア視点ー
窓が閉まってるのに突然風が吹いたと思ったら彼は半透明になっていて形を崩しながら兵士達の物理的な制止をすり抜けて、なんなら建物自体もすり抜けて消え去った。最初からそこに居なかったように…。
「きゅ、急に半透明になって消えましたわ!!どうなってるの!?」
「落ち着け。エルフとはそう言う生き物だ。」
「お父様何を言ってるんですの!?」
お父様はいつになく真剣な顔をしてエルフとは何かを話し始めた。
「まず、この世界が教国が言う神によって作られ、神が傍観しているのは知ってるよな?」
「当然ですわ。お父様が雇った教師が教えてくださいましたもの。」
当然つけられた家庭教師の授業はちゃんと受けてるから一般的な範囲なら知っている。
「それでここからは極秘の話なんだが作ったのを神とするならばこの世界の管理をしているのは四大精霊と呼ばれる精霊なんだよ。」
「ちょっと待ってくださいまし!」
色々と根底から崩れる発言に耳を疑うがお父様は話を遮るなと言わんばかりの態度で忠告をする。
「いや、最後まで聞いてから質問して。」
「…分かりましたわ。」
「それで遥か昔、色々な種族が出来上がる前に四つの精霊は水、火、風、大地を生み出した。その四つの精霊は細部の管理者としてとある種族を作り出した。人間はそれをアークエルフと呼ぶ。アークエルフから複数派生してエルフと言う種族が出来上がった。当然希釈されたエルフよりも原液であるアークの方が精霊の血は濃くてアークエルフの中で稀に生まれる力が強い者は劣化の精霊程度の力と権能を保持していると言われている。一応彼らが精霊の血を引いている根拠としてはそのあり得ない寿命と無病さ、種族の素の強さ、無理矢理付け足したとしか考えられない歪な生態などがあげられる。そして稀に生まれる力が強い者はアークエルフと言う種族全体からみて同時に四人までしか存在しない。」
これはつまり、あのアークエルフが精霊の役割を一時的になら変わることもできると言っているようなもの。
「ちょっと待って、それって…。」
「しかもその4人はどう言うわけか経緯は別なのに結果的に四大精霊と同じ名前がつけられる。更に訳がわからないのが1人は風のように消え、1人は水に溶け、1人は入れ替えられた様に何かを残して居なくなり、1人は目を離すと見えなくなると言われている事。」
それは私の頭の中にある仮説が事実とするならばあの護衛は相当なやらかしをしたことになる。
「…。もう確定なのですか?」
私の言葉を無視してお父様は話を続ける。
「そしてこう言う伝承もある。この世界の精霊が悪化した世界に嫌気が差して世界を見捨てた時、四人の始まりのものが世界に誘われ次の管理者が産まれるまでの間代理で管理を行う。この始まりのものにまで見捨てられた時世界は悲鳴を上げながら崩れ去る。これらは上が隠していた滅ぼしたエルフが残した資料だ。」
仮説を無慈悲に立証し保障する言葉に衝撃を受けたがそれ以上にこの資料の大元がエルフの資料とするならば王家に潜りがいる事になる。それも複数で王家の根本的な部分に…。
「待ってください。一体何人王宮に忍ばせているんですか?」
「当主になるんだったら教えてやるから知りたいなら長男に勝て。まぁ、あれは今王宮で騎士やって腕と運営を学んでいる最中だけどな。お前が勝てるとは思えん。」
「運営を…学んでる?」
その一言に私は脳を直接殴られた様な衝撃を受けた。それはつまり次期国王の候補である王子達よりも優先的にそして明確に王子達より安全な位置で国家運営のノウハウを教えられていると言うことを意味するからだ。
スペアとしては謀略渦巻く王家の中に居ないと言うことは合理的だが王家としては正気とは思えない。
「そうだぞ。一応この家の血筋は最も王家に近いからな。あれが言った通り俺らは万が一のスペアでもある訳だ。当然当主になる予定の人間はある程度の国家運営が出来なきゃならん。しかし、国家運営など一貴族が行う領地の運営とは比べものにならないほどハードだ。だから王のもとで表向きは騎士として働きながら十数年かけて最低限の国家運営が出来る教養を王家から受ける。まぁ、本来なら機密には触れれないがな。」
「…。」
普通に語られたこの家の重大な秘密と殆どの人類が把握して居ない世界の終わりまでのカウントダウン。もう、眩暈がして仕方なかったがそれと同時にあの護衛とそれを止めれなかった私の失態がどれ程大きいのかを理解させられる。
「で、話を戻すが今最悪なシナリオが進んでる気がするんだよ。まずアレはシルフとか言う名前だったろ。これは四大精霊の内の風に当たる。そしてお前からの情報だとアレの許嫁は水の精霊と同じウンディーネと言う名だろ?で、そのシルフ本人からの情報でシルフと同族である事が確定している。更にはこの世界の生き残りのエルフを束ねる女王の名は火の精霊と同じくサラマンダーと言う。当然の様にそれもアークエルフだ。残るのはノームだけと言うリーチが掛かった状態になってる気がしてならない。嫁が旦那の腕を落とされても怒りを抱かないとは思えないしな。もしかしたら世界が滅ぶのに加担した一族になるかもしれん。」
「…。」
お父様は呆れた様に笑いながらそう言ったが私は頭の中が一杯で何も言えなかった。
「しかも報告書を見る限りシルフは最初はこちらに敵意が無かったらしいな?…全くアイツはいつも余計な事をしてくれる。ついには戦争をふっかけるだけで無く滅ぶまでの猶予を半分潰してくるとは思わなかった。…ふふ、世界崩壊に加担する。これはこれで良いかもしれんな…。」
もう私の耳には不気味に笑う父の声など既に届いて居なかった。
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