4.恨みを買って逃げられなくなっちゃってました。

皆さんどうも、いきなり難易度ベリーハードな私です。

皆さんは今いかがお過ごしでしょうか?


私は今、街の住民から酷い暴言を吐かれています。


私がなにをしたって言うんですか?

私はただ寝泊まりしたいだけなんですよ?

それなのに―



「おいおめェくっせぇからこの街に足踏み入れんな!」


これですよ。

皆さんどう思いますか……?


私ってそんなに臭いですか?

そんなに家に入れたくないくらい臭いですか?



「………………くっさ…これは誰も入れてくれないよね」


臭かったです。

分かっていましたよ。

私もこの異世界に来た瞬間感じましたから。


さてさてどうしましょうか。


「…………いやほんとにどうしよ~」



「……家無いのかい?」

「はい…………」

「なら狭い家で良ければおいで」

「お、おばあさん……!!」



私は神様に出会えたと思いました。

いえ、実際に神様には会ったんですが、

正直この時はこのおばあさんのほうが神様に見えてしまいました。



「さぁ、食べな」

「ありがとう……ございましゅ……うーーんおいしー!」


このスープなんだろう?コーンスープかな!?

すごく身に染みるよぉ~!

この世界に転生してから散々な目にあったからすごく美味しく感じる……うぅ…おばあさんありがとう……!


「シャワーも浴びていきな。外寒かったろう?」

「はい……それはもう…ありがとうございます。有難く頂きます」


私はシャワーを浴びることにした。


《レベルが16に上がりました。》




……なんで!?

私シャワー浴びただけなんですけど!?



《パッシブ効果:【水耐性】を獲得しました。》



パッシブ……!?水耐性!?

水耐性って何に使えるんだろう……。

私乙女ゲーしかして来なかったからこういう男の子がやるようなゲームの単語基本分からないんだよね~。




「おばあさん!ありがとうございました!」

「いやいや、いいんだよ…温まったかい?」

「はい!!身も心も温まりました!」

「それは良かった。もう暗いし今夜は泊まっていきなさい」

「ご好意に甘えさせていただきます!」



異世界にもこんないい人が居るんだなぁ~。

私まだ頑張れる気がするよ……!

明日からはなにか手伝おう!



「すんすん……うん!臭くない!!」


それでは皆さんおやすみなさい……。






「…………おいコラ!どけ邪魔だ!」



う~ん騒がしいなぁ~。



「……どけババア!」



うん?なんだろう?



「あの~おばあさん?どうかしました……え!えぇぇぇ!?」

「やっと見つけたぞ奴隷女」



えー!?この人昨日のお貴族様じゃん!

もしかして後付けてきたとか!?

どうしよ~!おばあさんにまで迷惑かけちゃったよ……。

それよりも……!



「おばあさん!大丈夫!?」

「あぁ、私は大丈夫だよ……少し挫いただけさね」



おばあさんを突き飛ばすなんて許せない……!

でも、私じゃなにも出来ないんだよね。



「おいこら奴隷女!次は容赦しねぇぞ。見ろ……この数を!」


うわぁ、お仲間呼んじゃってるよお貴族様……。

しかも十人くらい居るんですけど。

女の子一人にこの数はないでしょ~!



やっぱり私の難易度ベリーハードだよ~!!




「はぁっ!!」



「なんだお前……ぐはっ」



「次っ!!はぁっ!」



「誰だ……ぐはっ」



あれ?誰か…居る?




「…………婆さんと……そこのお前、大丈夫か?」





その時、私は一目惚れをしました。

これは私の初恋です。



「カッコイィ…………」




《高坂明美:レベル16【奴隷】》

・スキル【絶対防御】

・パッシブ効果【水耐性】

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