3.なんかいきなり戦うことになっちゃってました。

牢屋を出た私たちはこっそり移動した。

辺りは既に夜だった。


「暗いよ~」

「暗いですね……でも出られたので良かったですね!」


何とか出られたけど、ここからどうしようかな。

行くあてとか特にないんだけど。


「……もし、そこのお嬢さん」

「……はい?なんでしょう」


あ、たぶん貴族の人だ!

助けてくれるのかな!?


「こんなところで何を?」

「……あの、奴隷になってまして……えへへ」

「……なんと!それはいけない!さぁこちらへ。付いてきて下さい」


やったぁ!やっぱり助けてくれた!

この人、すごくいい人そうだしやっぱり私のカンは正しんだよね!







「…………あの…ここは?」

「……何逃げているんですか?奴隷は奴隷らしく牢屋に居なくてはいけないでしょう」



私のカン…………大ハズレだ……。

いつの間にか相部屋の子居なくなってるし。

どうしよう、このままだとまた牢屋行きだよ~!


戦うしか無いのかな……でも私が持ってるのボロボロのスプーンだけなんだけど……。


「さぁ……はやく戻れ。私が優しい内に」


あわわわわ!このお貴族様剣抜き出しちゃったよ!

どうしよう、腰が抜けて動けない……!

緊張して口も開かないよ~!!


「………なにも言わないということは、反逆とみなします。主人に逆らう奴隷など要りません……死になさい!」


うわぁぁぁぁダメだ~!

私また死んだぁぁぁぁぁ!



ギンッ



「…………なに?」



「………あれ?攻撃して……こない?いや、違うちゃんと腕が痺れる感覚が残ってる……もしかして私咄嗟にスプーンで剣を弾いたの?」


《レベルが11に上がりました。》

《スキル:【絶対防御】を手に入れました。》



なにそのスキル!?


「……まぐれでしょう…今度こそ死になさいっ!」

「やめてくださいっ!!!」



ギンッ



あ、また弾いちゃった……、



「……な、私の剣を一度だけじゃなく二度防いだだと!?バカな!ありえない」



その後も何度も攻撃をしてくるお貴族様だったけど、

私のスプーンによって全て弾かれた。

その間私のレベルがどんどん上がっていた。



「はぁ……はぁ………はぁ……なんなんだお前は」

「……えっと……明美です…」

「名前なんかどうでもいいっ!!くそっ!」

「す、すすみません!!」



どうしよう、この人まだやるつもりかな?

もう帰って欲しいなぁ~。


「……もういいっ!お前のような奴隷は必要ない!どっかへ行け!」

「あ、ありがとうございました!」



やったぁ!なんとか死なずに済んだよ~!

……そういえばあの子どこに行ったんだろ?



暗いしどこか街とか無いかなぁ……

どうせなら街に行って泊めてもらいたいんだけどなぁ。



「あ……!灯りがある!やったぁ!!」


街だっ!街が見えてきた!!

良かったぁ誰かいる!

泊めてもらえないか聞いてみよーっと!!



「汚いから無理」



「くっせぇなんだお前」



「……近寄るなしっしっ!!」





え……酷くない…?

私絶対難易度間違えてるよね神様……。



ベリーハードにも程があるよ……。




《高坂明美:レベル15【奴隷】》

・スキル【絶対防御】

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る