第一章 異世界冒険しちゃいます

2.気付いたら牢屋で過ごすことになっちゃってました。

どうやら私は奴隷に転生したらしい。


「なんで奴隷からスタートなの……たしかに0……いやマイナスでしょこれ」


しかも誰かいるんだけど。


「……お客さん?いらっしゃい」

「あ、ど、どうもはじ、はじ、はじめましてぇ」


地味な高校生活を送っていた私は、

コミュニケーション能力なんて皆無です。


「こ、こ、ここはど、どこですか?」

「……ここは牢屋の中だよ?見たら分からない?」


なんかこの子トゲある言い方するな~。

きっと天然で人傷付けるタイプの子だ。


「す、す、すみません。……あの~、私なにもしてないのでココから出たいんですけど……」

「無理だよ。私たち奴隷は貴族に売られて一生を生きるの」



えぇ~~!そんなの嫌なんですけど……!!


「どうにかならないですか~?」

「無理なものは無理ね」


この子もう諦めてるよ~!

私は0からスタートするって決めたんだ!

マイナススタートなんて嫌だよ!


「……あ、こんなところにスプーンが…」

「スプーンなんて持ってどうするの……?」


スプーンで脱獄とかどれだけベタな事しようとしてるの私……!

でも、何かやらないと始まらないしやるしかない!



とりあえず壁にスプーンを当てる。


「えいっ!」


コンッ



え!無傷なんだけど……!



「えいっ!」


コンッ



あ、少し傷が付いた!やったぁ!




「ってこれ何年かかるのよーー!!!!」

「…………うるさい」

「す、すすすみません!」



《レベルアップが2に上がりました。》



え?なんかレベル上がったんだけど……。

壁にスプーン当てただけでレベルアップ上がったんですけど。



「すみません、もう少しだけいいですか?静かにしますから…」

「……はぁ…遊ぶのはいいけど、静かにしてね」

「あ、ありがとうございます!」



よーし相部屋の子に許可もらったからやるぞー!

……相部屋って…。



コンッ


コンッ


コンッ


コンッ


・・・。





《レベルが10に上がりました。》




「ふぅ………………」


結構汗かいてきちゃったなぁ~。


「…………もう遊びは終わっ………………えぇぇぇぇぇぇぇ!!」

「どうしたんですか?」

「いや、え!!?壁………………穴……」

「穴?……………………えぇぇぇぇぇぇぇ!!!!?」



なんだか途中から楽しくなってきちゃって、

全然気付かなかった……スプーンでほんとに穴空いちゃったよ。



「…………あの~一緒に出ます?」

「…………うん」




《高坂明美:レベル10【奴隷】》

・スキルなし

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