第25話

 こ、怖いよ~~~~っ!? 


 顔は笑ってるのに目が笑ってない!?


 それに背後から邪悪なオーラが見えてるし!? 何なのアレ!?


 ウソを吐いた覚えなんて全くないんだけど!?


「え、えっと~ステラさん……? ウソというのはどういう……」


「しらばっくれないでください。センカ様はご両親に『水操作魔法をかけられた者は監視機能がつけられてる』と説明していたではありませんか」


「あぁー……」


 なるほど、ステラはそれでウソを吐かれたと思ってるわけか。


「私に教えてくださったことに、そのことは含まれていませんでした。さぁ、なぜ私には教えて下さらなかったのですか? 理由を述べてください」


 ステラはボクの返答を、人に恐怖を植え付けるためだけにあるような笑顔で、じ~っとボクの目を真っ暗な瞳のまま見つめて待つ。


 ボクは早くその瞳から解放されたくて、すぐさま洗いざらい吐く。


「ステラ、それは誤解だよ。水操作魔法にそんな効果は無いよ」


 というより誤解を解いた。


 するとステラは、目を丸くしてパチパチと瞬く。


「そう、なのですか……?」


「うん。あれはパパ上とママ上が悪さをさせないための予防線と、他の使用人たちに謝らせるための強制力になるから、あぁ言ったんだ。ごめんね? 二人を騙すためとはいえ、結果的にステラも騙すことになって……」


「い、いえっ!! 私の方こそすみません!! そ、そうですよね!! 何の理由もなくセンカ様はウソを吐くはずがないですもの!! うぅ~、私ったらとんだ勘違いを……」


 あっ、やっと元のステラに戻ってくれた。


 ふぅー……よかった。


 ボクは心中、深く溜息を吐く。


 今はもう、ステラの瞳はハイライトを取り戻してるし、邪悪なオーラが消えてる。


 あのままだったらボク、死んでたよ。


 まぁだけど、この恐怖は体に染みついちゃったね……あははっ。


 ……もう二度とあんなステラは見たくないな。


 良いウソも悪いウソも、ステラの前では絶対にしないようにしよ。


 うん、そうしよ。


 ボクは絶対の誓いを胸の内に立てて、ボクたちは歩き始める。


 そして—――


「ここ、ですね……」


「うん。ここからがボクたちの―――第一歩だ」


 隠し通路に繋がる扉の前に辿り着き、そう言葉にした。


 そしてボクは、ステラに声を掛ける。あることの確認だ。


「ステラ、心の準備はできてるかい?」


「はい! もうとっくに!」


 どうやら愚問だったようだね。


 ステラの顔から不安や怯えなんて全くない。



 あるのは—――希望だけだ。



 ステラはもう、先の未来を、平和を、笑顔を……見据えてるんだね。


 まっ、ボクもなんだけど。


 謎の対抗心の火を灯しながら、ボクはパパ上から受け取ったカギに使って扉を開ける。


「さぁ、行こうか!」


「えぇ!」



「この文化も娯楽も壊滅された世界に!」



「彩り豊かな私とセンカ様の花を魔族に届けて!」



「「復興と再生—――そして共存を!!」」




 ボクたちの物語は—――今、動き出す!




【第一章 完】




〜あとがき〜


「面白い」「続きが楽しみ」と思っていただけましたら、是非レビューやフォロー、応援コメントのほど、よろしくお願いします!




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

魔王の世界征服に貢献してしまった、戦犯悪役一家に転生した花屋の少年~人類の叡智である文化も娯楽も壊滅されたこの世界に、彩り豊かな花束を添えて復興と再生を~ 大豆あずき。 @4771098_1342

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画