第23話
「早速、お話をしたいんだけど……その姿じゃ無理そうだね。呻き声を上げるだけだし……。どう? 元に戻してほしい?」
二人は縋るように、呻き声を上げてゆっくりと頷く。
「うん、わかった。いいよ、元に戻してあげても」
そう言うと、二人の悲し気な顔に希望が宿り、どこか嬉しそうに見えた。
二人はボクがタダで元に戻すと思ってるだろうけど……そこまで甘ちゃんじゃないよ。
二人には—――あることをしてもらわなきゃ。
そうじゃなきゃ、ボクの気が収まらない。
なのでボクは、こう言う。
「ただし、条件があるよ。それは—――」
◆
「「す、ステラ様っ!! 大変失礼なことを申し上げてしまいっ!! 大変無礼な扱いをしてしまいっ!! 誠に申し訳ございませんでしたっ!!」」
ローテーブルの横にあるスペースにて、過去回想のシーンと同じような姿になったパパ上とママ上がステラに謝罪した。
それは誰が見ても、謝意の気持ちが伝わるような心からの謝罪だった。
なぜなら、二人とも頭を床にめり込ませて—――土下座していたからだ
違うか。正確には土下座をさせられていたんだ。
—――ボクによって。
ボクはあの時、こう言ったんだ。
条件が二つあると。
『使用人たち、みんなに酷いことしないと誓う』こと。
そしてもう一つが—――『使用人たち、みんなに土下座で今までの行いを悔い改め謝罪する』こと。
今やってるのはこれだね。
隣でパパ上とママ上に唾を吐き捨てそうなほど、嫌悪を露わにして見下ろすステラに声を掛ける。
「ステラ、一先ずは許してくれないかな? まだまだステラからしたら腑に落ちないだろうけど、取り敢えずは……」
「……は、はいっ! もう私は大丈夫です!」
うん、全く許してないね。
ボクには笑顔を見せてるけど、チラッと二人を見る君の瞳には、怒りと憎悪が残ってるよ。
それにずっと、「ゴミクズがゴミクズが—――」って呟いちゃってるし。
まぁ、それだけ根深いものというわけだ。
「せ、センカ様っ!」
「わ、私たちはもう……!」
二人はステラに許されたことで、この屈辱から解放されると笑みを浮かべる。
しかし—――
「あれ? さっき言ったこと忘れたの? 無論、ステラと同じように他の使用人たちに謝罪してもらう予定だよ。ちゃんと一人一人、謝りにいかないとね?」
そ、そんな……!! と、さっきの笑みはどこへやら。
二人は凄まじい落ち込みっぷりだった。
まだ下らないプライドが残ってるのかな?
だけど、人間早々、性根を変えられるほど器用じゃないしね。
長い目で見よう。そうすれば自ずと、順応してくれるはずだ。
「でも、みんなへの謝罪は後にしてもらって—――ボクのお願い、聞いてくれる?」
パパ上とママ上が顔を上げて、目を丸くする。
「おね……がい?」
「それはどういう……」
「それはね—――隠し通路のカギちょうだい?」
両手を合わせてながらてへぺろして、そうおねだりした。
〜あとがき〜
「面白い」「続きが楽しみ」と思っていただけましたら、是非レビューやフォロー、応援コメントのほど、よろしくお願いします!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます