第5話 - 別れ





――レベルが3に上がりました――


――スキルポイントを2取得した――



ニワトリスが倒れて、2分が経った時に視界の端でそんなメッセージが現れた。


それを見た俺は木の棒を拾い、そいつの体を突っつこうと思ったが、念の為に

っと考えを改めて、力任せでそいつの頭を叩いた。


「フッ!」


……


(死んだか)


その攻撃に何の反応も変えてこない、体に呼吸の動きもなく、尻尾の蛇も口を

開けったままで倒れていた。


「ふううぅ~」


隠れていた精霊たちがこっちに向かているのを確認して、大きく息を吐いて、

緊張が抜けていくのを感じた。


ニワトリスから距離を取りながら、他の二人に呼び掛けた。


「もう大丈夫みたいだ」


その言葉に二人はゆっくり近づいてきた。


「上手くいったね」


お姉さんは刀でニワトリスをつつきながらそう言った。

その後ろで魔法使いの学生さんは安心した顔をしいる。


(それにしてもあの子の使った魔法は一つも外しなかったな。使い方は

いいのかな?警戒をした方がいいな)


精霊たちというと、ニワトリスが死んでから木にあった家みたいなところに

入ったきりだ。


っと、考えている内にその精霊たちは何かを抱えながら出てきた。


(宝石?)


精霊たちは三つの黄色の宝石を俺たちの手の上に置いた。

その宝石をじっと見ていれば光りだしてきた。


(っ爆発⁉)


―――――――――――――――――

――取得可能スキルポイント:1――


取得しますか? 【はい/いいえ】

―――――――――――――――――


(おっ?)


爆発もなく、ホログラムみたいに宝石からそんなメッセージウィンドウが

現れた。どうやらSPがもらえるようだ。精霊の方を見ると、こっちに向けて

頷いた。


【はい】


―――――――――――――――――

1スキルポイントを取得しました

―――――――――――――――――


宝石は光となり、俺の手のひらに吸い込まれた。

ステータスを見ると本当にSPが増えた。

他の二人も同じように宝石を使い、SPをもらえたみたい。


(さて、クエスト完了でいいかな?)


精霊たちは他に何も頼んでいないので、後はこいつの死体を片付けて、去る

だけだ。そう思って、俺は四人に声を掛けた。


「どうやら問題はこの鶏の魔物だけだったな。精霊さん、こいつは食べられるか?毒とか大丈夫?」


尻尾の以外、普通のでかい鶏に見えるが、どこに毒があるかはわからない。

だけど、もしも食べることが出来れば今日と明日の食事分になる。


(食べなくてもこいつの大きな羽は何かに使えるかもな)


俺の質問に精霊たちはニワトリスの近くまで飛んで、そいつの手羽先を

指さした。


「手羽先は食べてもいいか。ありがとう。俺は出来れば羽も取り、全員で

分けようと思うが、二人はそれでいいか?」


「あの!他に食べられる部位もあると思います」


精霊たちに礼を言って、お姉さんたちの意見を聞いたが、学生さんの方はそう

答えた。


(スキルか?)


「わかるのか?」


「はい、料理スキルを持っています」


「そうか。それじゃあ、血を抜く必要もあるだろうから、こいつを川まで

運んで、そこで解体しようか」


「はい、それでいいと思いますけど、スキルで血を抜くことができます」


「すげえ、そんなこともできるのか!」


学生さん、いや、魔法を使うので、魔法少女はニワトリスから5メートルも離れた

ところで死体に手を向けった。


すると、その手は淡い白色の光に包まれ、同時にニワトリスの周りも光った。

そして光がすうっと消えていき、血で汚れた地面は綺麗になり、ニワトリスも少し

小さくなった気がする。


「うわああ、マジか……」


(ファンタジー……)


「これで血は抜けたと思いますけど、体の汚れはまだ残ていますから、川で解体をした方いいと思います」


「本当にすごいなあ。それじゃあ、俺が運ぶので護衛はよろしくな」


笑顔でそう言って、俺はニワトリスを背負い、二人と一緒に精霊たちの案内で

川へ向かった。



◇◇◇◇



2時間後。


川に着いた俺たちはニワトリスの解体をした。

っと言っても、スキルの効果か、それとも元からこういうのが得意か、

大体あの二人が全部やった。俺は使えない部位を葉っぱなどで囲み、木の棒で

掘った穴に埋めった。


それも終わり、女神から貰ったライターで火を起こして、ニワトリスの肉を

3人分だけ焼いた。精霊たちは小さいので、つまむ程度の分だけで満足だった。


優秀すぎる魔法少女と忍者の指示に従い、余った肉を大きな葉っぱなどに囲み、

三人分に分けった。精霊たちは元々森の木の実や果物だけでいいみたいで、

彼女たちの分は要らなかった。


こうして、食事も終わった俺たちに分かれの時間が来た。


そんな俺たちに精霊たちは森の西に村か町があると教えてくれた。

そしてその近くまで案内するとも言ってくれた。


(これは嬉しいな、俺は森に残るが、二人のことは心配だったな)


「精霊さん、二人も、ありがとうな。でも俺はこの森に残るよ」


「え?村にいかないの?」


二人は驚いた顔をして、姉さんの方は聞いてきた。


「ああ、がどんなところで、その村の人はどんな人もわからない。

俺はこの森で魔物を狩りながら過ごすさ。いつか様子を見に行くと思うがな」


ここというのは森だけじゃなく、もちろん世界そのものという意味っと

目配りをした。


言葉の意味を分かったか、少し離れて、二人で話し始めた。


(マジでどんな世界がわからない。この森の外はレベルを上げてから見に行く)


数分話した後、二人は戻り、俺に話しかけた。


「ねえ、提案のだけど、少しの間だけ協力しない?」



(はい、ハーレム決定)





つづく

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