第3話 - 精霊





(うほおおおっ!、マジで精霊だああっ!)


変な顔を何とか抑えて、その子を見た。

まだ少し輝きながら、精霊は何だか人形の服みたいなものを着ていて、蝶々

みたいな翼で飛んでいる。


(ファンタジー……)


いつまでも見ているだけもいかず、俺は彼女に声を掛けた。


「精霊さん?」


彼女は何も言わず、微笑みながら頷いたっと思ったら、また小さな光になって

飛んで行った。


(ついてこいってことか)


数メートル先で俺を待っていたので、精霊の後をついた。


ゆっくりと歩きながら、森を見渡す。この森の特徴か、それともそれほど深い

場所じゃないのか、木と木の間は結構開いており、太陽の光が森を照らした。


「おっ」


少し離れた所に数匹の鳥がいた。

動物に詳しくはないが、見たことない鳥だったが、地球に存在してもおかしくない

の普通のやつに見えた。


その他にも珍しい植物や虫を見ながら精霊さんと森の中を進んでいた。


そして、1時間半くらい歩いていたところで水音が聞こえてきた。

精霊さんに聞いても答えてくれないので、ついていくしかなかった。


更に数分が過ぎて、視界に小さな川が入ってきた。

そのまま森を出て、川へ近づいた。精霊さんは川辺に着くとまた女の子の姿に

なって、近くの岩にふわあっと座った。


ここで何かを待つのか、俺にも座ってっと地面を指さした。

流石にこんなところでのんびり座ってもいいのかっと躊躇い、俺は川の水の質を

確かめるっと言って少し飲んでいいかと聞いた。


精霊さんは笑顔で頷いたのを見て、俺は手で少しだけの水を飲んだ。


(うむ、天然だからか、ミネラルウォーターとも違う味だが、冷たくて

美味しい)


ここへ来る途中で飲んでいたミリタリーボトルの水の残りを飲み、川の水で

ボトルを満たした。


今度は顔を洗いながら、周りを見た。川の向こうはこっち側よりも森が

広がていて、人工的なものは一つも見当たらない。


そんなことをしていると、精霊さんは向こう側を見て、岩から飛び上がった。

どうやら待っていたのは仲間だった。森からもう一人の精霊がこっちに向かて

飛んできた。


そこまでは予想内だったが……


「待ってっ!」


女の子の声が聞こえたっと思ったら、なんと、最後まであの部屋にいた二人の

女性が森から出てきた。


川の向こうにいるが、俺はいつでも使えるように自分のスキルを意識した。

二人も同じようで、動きを止めて、こっちを警戒している。


(二人も着替えているな)


上手く見えないが、白い部屋ではスーツを着た女性は何だか変わった服を

着ている。学生服の女子は魔法使いか、ローブを着ている。


俺は一応手を少しだけ上げて、危害を加えるつもりはないっと見せた。


そんなことをしていると、向こうの精霊さんがこっちについて、俺を案内した子と話してを始めた。


(声は全く聞こえないな)


話が終わったのか、精霊たちは二人して川の向こうへ飛んで行った。

そこに着くと、俺にこっちに来てっと手を振った。


(いいのか?)


その様子を見ていた二人に声を掛けた。


「なあ、俺一時間前にその子に出会えて、ここへ案内された、そっちも同じか?」


「ええ、私たちもよ」


「ってことは君たちも装備のお礼なのか、俺はそいつらを手伝いたいだけだ、

それが済んだらどこかへ去るつもりだ」


(服を着替えているから、俺と同じく、女神からクエストを貰ったかも)


俺の言葉に二人は小声で話をして、数秒で返事をした。


「分かった、あまり近づかないという条件なら来てもいいよ」


忍者の女性はそう答えた。


(そりゃそうだ、こっちも近づくだけで怖いぜ)


二人に返事をして、俺は石を足場に川の向こうへ渡った。


近づくと、二人の姿が見えてきた。

一人は高校生か、黒い学生服の上に茶色のローブを着ていて、長い黒髪を

ポニーテールにしている。手には小さなワンドを持ているので、魔法使いと

見ていいかも。


忍者のお姉さんの方も少し赤色がかかった髪をポニーテールに結び、こっちも

少し黒い緑色をした忍者服みたいなものを着ていて、手には刀を持ている。


「先に言った通り、俺はこの子達を手伝いたいだけだ、二人はどうしてその子と

一緒に?」


10メートルくらいの距離を取り、改めて聞いてみた。


「ええ、私たちはこの服と一緒にあった紙に精霊を手伝えっと書いていたから、

この子と一緒にここまできたよ」


お姉さんが答えた。


「そうか、なら俺と全く同じだな。君たちはどうしたい?俺はこのまま精霊たちについていきたい、もちろんこの距離を保てもいい」


「私たちも同じよ、悪気はないのだけど、この距離でお願いね」


「分かった。それじゃあ、行こうか」


お姉さんの返事を聞いて、精霊たちはまた森の中へ飛んで行った。

俺は先頭に立ち、二人は後ろで少し離れたところからついていた。





つづく

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る