第2話 - クエスト




目を開けると、そこにはキラキラとした服を着た姫様が……どこにもいなかった。


(……マジかよ)


森だった。どこを見ても木、緑、土。


周りを見ても変わらない、視界中に渋い緑色が広がていた


(あれは本当だったのか⁉)


女神が言った自由は文字通り、王国に行きたくないならどこへ行ってもいい。


(それは城で召喚された後っと思ったが、どうやら違っていた)


あの白い部屋にいた時、俺はこういうところに行きたいと思っていた。

人里から離れた森、自分の体一つでのサバイバル生活。


問題はここが俺の望んでいた通りの場所かどうかだ。

俺が欲しいのは今の俺でも倒せる魔物たちがいて、それを倒しながら強くなる

ことだ。


(ご都合主義、来てくれよ)


ここに突っ立っても何も始まらないと思って、俺は歩こうとしたが、地面に何かが

落ちていると気づいた。


(リュック? ……まさかっ!)


それを見て、俺はもしかしたらっと思って、リュックの中を確かめた。


(マジかよ!)


中身を見た俺はつい笑いそうになった。


(ナイフ、ミリタリーボトル、2着の迷彩服、干し肉、ライターと見たことない

白い石版)


あの女神はどうやら俺の望みを聞いてくれた。

リュックの中には一つの紙があり、そこにはこう書かれた。


【初期装備よ、お礼は私のかわいい精霊を手伝うことで。その後は自由に

しなさい】


っと。どうやり女神からのクエストを受けたみたいだ。



◇ ◇ ◇ ◇



着たことのない迷彩服に着替え、服の下にナイフを隠した俺は空を見上げた。

家にいた時は22時くらいだったが、今いる森には朝日がゆるゆるっと昇て行く。


自由にしていいっと言ったけど、いきなり頼みごとをしてきたなっと思わなくも

ないが、俺的には問題はない。


(俺はこの世界でやりたいことがある、女神との繋がりなんて、願ったり

叶ったりだ)


「さて、精霊とは?」


意気込みはいいが、精霊はどこにいるかはさっぱりだった。

リュックに地図がないかと探したが、それらしいものはなかった。


(残るのはこの白い板版だけだが)


その板版にはタイマーがあり、6日23時22分47秒っと時間が減っていた。

転移方法が方法で、爆弾のでは?っとビビったが、そのタイマーの下には

何かのバリアーに囲まれたテントの絵があり、もしかしたら漫画でよくある

魔物除けみたいなものじゃないかっと思った。


板版にはボタンがあったので、付けっぱなしはもったいないと思ってタイマーを

止まった。


……マジで爆弾かもっと思ったから、木の後ろに隠れながら、木の棒でやった

がな。


「ん?」


そんな馬鹿なことをやっていた俺の顔の前に蛍みたいな光が近づいた。

距離を取ろうとしたが、その光はなんと、女の子になった、10センチくらいの。


それを俺みた俺は無意識に………間抜け顔で鼻を伸ばし、涙目になった。





つづく

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