朝日奈静葉編
第18話 学力テスト①
学年テスト当日。
俺みたいな生徒会に入らない生徒にはただの学力を測るテストだが、朝日奈のように生徒会に入ることを目指している生徒にとっては重要なテストとなる。
「朝日奈。おはよう」
「永海さん。おはようございます」
「おは~。永海君!」
「楪もおはよう」
朝日奈は今も勉強をしていた。
生徒会に入れるのは学年テストで一位を取った生徒か、体力テストで一位を取った生徒のみ。
朝日奈は運動が苦手らしいので学年テストで一位を取らないと生徒会に入る道はない。
先週、小体育館に集まっていた一年生の数を見る限り、生徒会に入るのはかなりの狭き門だ。
あの中でたった二人しか生徒会に入ることができないのだから。
「いけそうか?」
「どうでしょう? 自信はありますけど、受けてみないと分かりませんね」
朝日奈の学力がどのくらいなのか知らないけど、今日まで頑張っていたことを俺は知っている。
だから、その努力が実ってくれたらいいなと思った。
「そっか。俺には応援することしかできないけど、応援してる」
「ありがとうございます。それだけで心強いです」
「応援くらいならいくらでもするよ。それ以外にも出来ることがあればいいんだけどな」
「それなら、もし私が一位を取ることができたら何かご褒美をください」
「ご褒美か。具体的には?」
「それは、まだ何も考えてないですが……」
「分かった。俺にできることなら、朝日奈の望むことを何でもする」
「いいのですか?」
「もちろん」
「必ず一位を取ってみせます」
朝日奈は嬉しそうに頬を綻ばせると体の前で小さくガッツポーズを作った。
「静葉だけいいなぁ~。私も永海君からご褒美欲しい!」
「欲しいって楪は何もしないだろ?」
「そうだけど~。あ、そうだ! じゃあ、明日の体力テストで一位を取ったらご褒美頂戴よ!」
「別にいいけど、一位を取る自信があるのか?」
「もちろん!」
楪は自信満々に言い切った。
数日間、楪が数々の部活動に体験入部を活躍しているのを知っている。
だから、自信満々に言い切れるのも納得だ。
「分かったよ。じゃあ、楪も明日の体力テストで一位を取ったら俺からご褒美を上げるよ」
「やった~! ご褒美何にしようかな~」
「一位を取る気満々だな」
「当り前じゃん! てか、もともと一位を取るつもりだったし! それに永海君からご褒美が貰えるなんて取らない理由ないじゃん!」
俺にグッとポーズを向けてきた楪は眩しいくらいの笑顔を浮かべていた。
「永海君は一位目指さないの?」
「俺が? 目指さないな」
「なんで? 目指せばいいのに」
「目立つだろ」
「いいじゃん」
「俺は楪と違ってあんまり目立ちたくはないんだよ」
「ふ~ん。その割にはこの前めっちゃ目立つことしてたじゃん」
「あれは目立ちたくてやったことじゃないから」
「知ってる。静葉を助けるためでしょ」
「そういうこと」
朝日奈を助けるためというのもあるが、本当の理由は朝日奈にカッコいいところを見せるためだ。
もちろんそのことは二人とも知らない。
「それにしても、あのシュート本当に凄かったな~。危うく永海君に惚れちゃうところだったよ~」
「惚れなかったのか?」
「う~ん。ちょっとだけ、ほんのちょっとだけ惚れたかな」
「それは残念だな」
「でも、もし永海君が明日の体力テストで一位を取ったら惚れちゃうかもなぁ~。ね、静葉」
「そうですね。惚れるかもしれませんね」
「それはズルくないか?」
そんなこと言われてしまっては一位を取りたくなってしまう。
「じゃあ、俺が一位を取ったら二人は俺に惚れるってくれるってことでいいんだな?」
「惚れる惚れる! てことで、永海君も一位目指そうよ! もし、永海君が一位を取ったら逆に私たちからご褒美をあげる! もちろんエッチなことでもいいよ。私のご褒美は」
最後の言葉だけ俺の耳元で言った楪。
その言葉で俺の心に火が付いた。
楪とエッチなことができるのと、目立つことなら、迷うことなく楪とエッチなことができる方を選ぶ。
「その言葉、忘れんなよ?」
「もちろん♡ 永見君が一位を取ることができたら、なんだってしてあげる♡」
「じゃあ、サクッと一位を取って楪にエッチなことしてもらうかな」
「へぇー。自信あるんだ」
「まぁな」
スキルを使わないと絶対に無理だろうけど、使えばダントツで一位を取ることは余裕だろう。
「あの、お二人で何の話をしているのですか?」
「静葉には秘密よ♡ ね、永見君♡」
「そうだな」
「むぅ、教えてくれないのですか?」
朝日奈は不満そうに頬を膨らませて俺のことを上目遣いで見てきた。
「まったく~。静葉は可愛いな~」
楪は朝日奈のことを抱き締めて頭を撫でた。
「教えてあげてもいいけど、静葉も一緒にヤることになるよ?」
「構いません」
「まぁ、静葉も高校生だし、いずれは遅かれ早かれ経験することだもんね。分かった。じゃあ、もし永海君が明日の体力テストで一位を取ったら、静葉も一緒にエッチなことしよっか!」
「え、エッチなことですか!?」
「静葉も一緒にヤるんだよね?」
戸惑っている朝日奈のことをニヤニヤとした笑みを浮かべて見る楪。
完全に朝日奈のことを揶揄っている。
そんな楪に俺も加勢をしようと思った。
「構いませんって言ったもんな。つまり、いいってことだよな?」
「そ、それは・・・・・・」
下を向いて顔を真っ赤にした朝日奈は黙ってしまった。
「まぁ、どうするかは静葉が決めなよ」
「わ、分かりました。私も永海さんとエッチなことします」
顔を上げて俺のことを見た朝日奈は覚悟を決めたような目をしていた。
「こりゃあ、ますます一位を取らないといけなくなったな」
朝日奈の覚悟を無駄にしないためにも俺はどんなことをしてでも絶対に一位になろうと思った。
藤宮が教室に入ってきて、朝のホームルームが始まった。
そして、朝日奈にとって勝負の学力テストが始まった。
☆☆☆
ラブコメの世界に異世界転生した俺はハッピーエンドを迎え現実世界に戻ったのだが、なぜかスキルを使えるので現実世界でもハーレムを作ってみた件 夜空 星龍 @kugaryuu
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。ラブコメの世界に異世界転生した俺はハッピーエンドを迎え現実世界に戻ったのだが、なぜかスキルを使えるので現実世界でもハーレムを作ってみた件の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます