第14話
いやー駄目でしたね。王城で気絶しましたよ。仕方ない仕方ない、パレードまでなんとかしましょうか。
できるか!転移してすぐ倒れたぞ!転移魔法にミスがあったのかハスルグさんが詰められてどこか連れてかれるし、エリスを支えて立ち尽くす俺と悲鳴に満ち溢れる城内。俺達が魔王だった?
女官たちが俺達を抱きしめ、騎士たちが俺達を中心に周りを囲み防御態勢で客室へ案内。なんて豪華な部屋なんだこの状況でさえなければベッドにダイブしただろう。人が多くて気絶しましたっていうべきか?ハスルグさん多分説明してるよね?
「ご無事ですか!クロ様!勇者様の様子をご確認ください!」
「ええ、私は大丈夫です……エリスは気絶しているだけです」
「気絶!?転移魔法でですか?」
「いえ、わかりません。我々は長距離異動は初めてでして……」
「なるほど……」
騎士のおじさんは神妙な顔をした後で報告に向かいますと席を外した。その間他の騎士は入口やテラスを固め、女官はエリスの世話を焼いていた。俺席外していいかな?
「着替えるなら席を外しましょうか?」
「いえ、こちらに。着替えさせはしません。それに転移魔法が王弟殿下の危険な魔法であった可能性がありますのでここを離れないでください」
女官のお姉さんからそう言われては俺には何も出来ない、ハスルグさん信用ないの?大丈夫?
「ク……ゥロ……くん……」
「クロ様、こちらへ」
「エリス?おきたか?」
「ここどこ……?」
「王城」
「私……死んだの?」
「生きてるよ」
見知らぬ人がいっぱいいたから気絶して死亡する勇者なんていてたまるか!
「失礼、なぜ倒れたかを伺っても?」
「なんで?」
「…………」
「エリス、なんで?」
「……人が多いから……」
どうもハスルグさんは連絡はしてなかったらしい。皆はぽかんとした後それでは外しますとでていってしまった。どうするんだこれ。
「まぁ……エリス……パレードいけるか?」
「……多分無理……」
まぁわかってたさ。
「失礼、勇者様が目覚めたと」
「ハスルグさん、今までどこへ?」
「……王の前で制約魔法で嘘をつけなくされた後無実を証明してました」
それは大変ですね。直前までチクチク言われたんでちょっとスカッとしたけど。
「それでパレードですが……やはり出てもらうしか……」
「(フルフル)」
「だ、そうです」
「ある程度はごまかすのでなんとかなりませんか?」
「クロくん……」
俺に委ねるのか……
「なんとか!なんとかお願いします!」
「クロくん……」
こうして数日後、パレード開始前にゲロまみれになった俺はごまかしようもなく、勇者のお付きのくせに緊張でゲロはいてパレードに出てた不名誉を背負い魔王討伐の旅に出ることになった。絶対許さんぞ……覚えておけ!
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