第18話
熱が下がり、比較的軽い運動が出来るようになった頃、私は境内の掃除をしていた。カタクリは摂社と拝殿の掃除をしているので、境内には私だけということになる。
楼門を抜け、参道の方を掃除していた時、沢山の人が私を取り囲んだ。知らない人は全員、白衣に赤や
「宗一の言っていたことは本当だったのか、、、」
「しかし何故、十五年間も見付からなかったのでしょう」
「この子が次の生き神様か、、、」
神職達は口々に話し出すが、私は恐怖しか感じられなかった。
「さぁ生き神様。行きますよ」
誰かがそう言ったのを合図に、神職達は私の口と鼻に湿った布を押し当てた。
そしたら何だか眠たくなって、、、、、、私は意識を手放した。
目を覚ました部屋は暗かった。
四畳半の部屋は狭く、窓はなかった。いきなりこんな所に連れて来られて、酷く動揺した。
(此処は、、、何処なの?)
怖い、怖い、怖い。
そんな恐怖に怯えていると、部屋に誰か入ってきた。
「お目覚めですか?生き神様」淡々とした口調の女性。私を取り囲んでいた神職の一人だった。
「あの、、、此処から出して!」
精一杯の訴えだった。きっと出してくれると思った、、、それなのに女性は首を横に振る。
「申し訳ありません生き神様。わたくしめでは出来ません」感情のない声。それだけでも怖いと感じた。
「生き神様、よくお聞きくださいませ。神と縁を持ち、生き神に選ばれし者は身を捧げ、この村を守るのが役目。生き神様が身を捧げなければ月峰神はお怒りになられ、この村を蝕まれてしまうのです」
きっとカタクリはそんなことしない。そう言いたいけど、言えなかった。
「儀式まであと少しです。それまで此処にいて下さいませ」その言葉を残して、女性は部屋から出ていった。行灯の光が部屋をぼんやりと照らす。
(カタクリがいない所は私には寒くて耐えられないよ、、、)
此処は、寒い。
暗くて、寒い。
うずくまる。
寒さなんか感じないように自分で自分を強く抱きしめて。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます