第13話
しばらく泣いたらアンズは落ち着いたようだった。
「じゃぁ、何で私を外と関わらせなかったの?」
アンズはそう聞いてきた。その質問がくるのは予想していた。
「オレがどんなに言葉や文字を教えることは出来ても、どうしても人として育ててあげることは出来ない。オレはこの山からは出られないし、外に出してやったとして、、、果たして一人で生きていけないだろう」子供が生きていくには誰かの助けが必要だ。
これに関しては正直、賭けだった。
アンズを
マヨイの子供だと分かれば生き神として崇められてしまう可能性があった。案の定、マヨイの血が濃かったのか、アンズはオレの姿が見えていた。
生き神として崇められれば、生みの親は親でなくなり、アンズは神の声がキける道具として利用される。実際にマヨイもそうだった。生き神として山に招かれたのは二十を超えてからだが、神職からは生き神として身を捧げるのを受け入れさせる為に外と関わりのある物を制限され、境内から出れば生き神の力が失わられるとでも思ったのか、境内から出るのを禁止した。
果たしてこれが幸せなことだろうか?
「少なくとも村人にバレていれば今より窮屈な生活を強いられることになっただろう」そう告げるとアンズは分かりやすい程、青ざめる。
神職に見付からないように隠れた。
密告を防ぐ為、村人にも関わらせなかった。
下山を防ぐ為、柵を作った。
摂社には結界が張ってあるから神職には出入りできないのを良いことに、摂社を主な住まいにした。
全てアンズを守れる精一杯の努力だった。それが、この子を苦しめていた行為に繋がろうと知りもしなかった。
本当に申し訳ない。
アンズを見るとまだ行動範囲の制限に固まっている。
「じゃぁ、
鎮守の沢というのは少し前にアンズが転けた場所か、、、そんな名前が付けられていたんだな。初めて知った。
「村人にバレていればな」
「バレていなくて良かった、、、」
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