車窓

手入れされているのかも

分からない

ただ広がる田畑

そばに立つ老夫婦


瞬きのうちに

幾つものマンションが

表情変えずに並び立つ

けたたましい踏切


「ちょっと失礼」

突然目の前を

遮り走る貨物列車

目と鼻の先


人々と戸建て

表情はさまざま

一秒にも満たず

過ぎ去る


普通列車の止まる駅

名前を尋ねる間もなく

さよならと

別れを告げる間もなく


敷かれたレールを

走っていれば

いつかは目的地に着く


降りてくるロープ柵を

蹴破りたいと思うのは

悪い子だ


あそこに見える

海の上の大橋まで

連れて行ってくれないか


まあ

無理か


遠くの海を眺めて

飛び込みたいと思う

脱線したいな

そう思う僕は

悪い子か


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