第25話 W3C文書の考える組版(追記有り)
【W3C文書】
HTMLやCSSを学習したことのある人には聞き馴染みのある組織だと思うが、W3C(World Wide Web Consortium)というのがある。
Wikipediaを見ていたら、このW3Cが「Requirements for Japanese Text Layout 日本語組版処理の要件(日本語版)」という文書を出していることを知った。
読んでみると面白い。《オススメ》である。
HTMLをプログラミング言語であると説明する人がいるようだが、僕は、やはりそれには抵抗感がある。HTMLは、「HyperText Markup Language」だ。マークアップ言語である。
そして、HTMLは物理要素ではなく論理要素を明示するものだ、という設計思想に強く僕は影響を受けている。
さて、今回紹介しているW3Cの文書は組版に関するものである。HTML等がそうであるように、組版の慣習も先人たちの智慧や経験によって築かれてきたものであろう。
僕はできるだけ、その慣習に従おうと思う者である……(そう言いながら、「段落先頭を字下げ」していない文書も投稿してきています。すみません)。
勿論、表現を行おうとする者は、意識的に古くからの慣習を破る場面があってもかまわないと思う。思うが、それに本当に意味があるかを自分自身に問うことはしていきたいと思う。
【原稿用紙の使い方】
組版の技術的制約と編集・校正の事情が絡み合いながら、小説の原稿の書き方の慣習が作られてきたのではないかと想像し、僕はこういうことを書いている。
上記のW3Cの文書の中の「3.1.10 Unbreakable Character Sequences 分割禁止」にある「Note」の文章《また,活字組版において2倍ダッシュは,2倍角のボディで作成されており,分割できないということから,その禁止の度合いが高かった.》等は興味深いと思う。
こうして、組版から遡って小説の原稿の書き方について考えるとき、「原稿用紙の使い方」を最初に定めたのは誰かと疑問に思った。
戦前でも学校で教えられていたのであろうかとWeb検索してみるが、よく分からない。
ヒントになりそうだと感じられたのは、以下であった。どちらも、小砂丘忠義という人に関する論文である。
まず、「初期生活綴方教育の実際――小砂丘忠義の文章指導を例として」(飯田和明、筑波大学研究第2号2004)によれば、《小砂丘は、文章技術指導の細部にまで顧慮を及ぼしていた。その一つの現れに「原稿の書き方」がある。彼は自身が原稿用紙に書いた「けむしやき」という綴方を載せ、「みなさん、綴方をおくるときには、つぎのとほり、きをつけてかいて下さい。一、はじめ題目、つぎに縣郡学校の名、学年、そのつぎに自分の名前をかく、 二、、や。や「」や()も字と同じく一つの□に一つかく」等、基本的な原稿用紙の使い方に関わる七項目を記している(『綴方読本 尋常三年』1933.11)。こういった側面を最も端的に表したものとして、『文章記述の常識』(1936)という著書の存在を挙げることができるだろう。》とある。
そして、同じ著者名による「小砂丘忠義の言語観――『文章記述の常識』の検討を中心に」(飯田和明、筑波教育学研究第15号2017)に、『文章記述の常識』の目次が書かれていて、「第三篇 記述の実際 第一章 原稿の書き方 原稿紙記述の常識 原稿記述の私案」という章節を見ることができる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます