第2話 僕ならこう考える(吉本隆明)
マニアと言えるほどでもなく、流行のままに「少年ジャンプ」を読んだり「ファミコン」ばかりやっていたのが、僕の少年時代である。
高等学校の同級生として出会った或る彼は、僕とは全然違っていた。話をする内に分かったのは、彼がめちゃくちゃ活字の本を読んできているということだった。たぶん、マンガやゲームには触れたことはなく、下等なものと見做しているようでもあった。「フツー、自分が何かものを考えるときに指針としているような哲学者・思想家が一人はいるものだろう?」というような意味のことを言って、哲学書に触れたことがない僕を「ふふッ」と笑ったこともあった。そんな彼が押し付けるように貸してきたのが吉本隆明の名前のある本だった。
後で振り返ると、『夜と女と毛沢東』という吉本隆明と辺見庸による対談本だったように思う。吉本についての知識は勿論無かったし、辺見と言えばセクシー美女辺見えみりさんしか知らない僕は、興味がもてなくて読まないまま返してしまったのだった。
その後、活字の本というものに少しずつ興味をもってきて、「ブック・オフ」を訪れた際に目に入ったのが、「僕ならこう考える――こころを癒す5つのヒント」という吉本隆明の本だった。高校時代の記憶と吉本という名前で購入した。後年の吉本は談話筆記、つまりおしゃべりした内容を編輯者がまとめたものを多く出していたが、これもそうだった。
受け入れがたいものの見方も含まれているとはいえ、読みやすく、僕にとっての吉本隆明入門書となったのだった。
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