人間界の国王が彼是やらかしに来る? 迎え撃ってやろうじゃないか!!!

第47話 カナデの変わりっぷりに自分のダサさに腹が立つ(ざまぁ)

――勇者キョウスケside――



ダンジョンと言うより、こりゃショッピングセンターとゲーセン、パチ屋だな。

そう思ったのは何時の事だったか。

この【魔王城ポイント】を貯めに貯めないと娼館には行けない事は分かっている。

魔族の女を好きに抱けるとか最高すぎるだろ!!!

しかも人型だろ!? たっぷり可愛がってやるぜ!!

そう思いながら服装をもとの世界のモノに着替えなおしてからユキコと一緒に見まわったが――冒険者たちは黙々とパチ屋行ってるし、皆それぞれ結構儲かっている様だ。


しかも換金システムもあるらしく金も稼げるらしい。

へぇ~いいね! あっちでは違法だがこっちでは合法ってか!?



「私スロットしてこようかな」

「俺はこっちやるわ」

「じゃあ後で合流しましょう。終わったらコンビニね」

「おう、時間は今から三時間後な」



こうして金貨をジャラジャラ入れて球を出して開いている席に座り回していく。

一時間も回すと周りよりは出てない事に気づき、俺の台は出ない台なのかと周囲を注意深く見ていると、どうやら皆ゲーセンで少し金を使ってからこっちに来てるらしい。

何かあるのか? 裏技みたいな、願掛けみたいなものが。

そう思ったら気になって球を全部換金してからゲーセンでダンスゲームを数回してからもう一度回すと出が良くなった?

――なるほど、ゲーセンで少し金を落とせば少しこっちの出が良くなるシステムか。

じゃあガッツリ遊んでから回せばその分出るってことじゃね?

明日はそれで試してみるか……。


そんな事を思いつつジャラジャラ回して三回程フィーバーしたが、その後はさっぱりで持っていかれる方が多かった。

ッチ、クソが。

だが、運の絡むゲームだし仕方ない。

三時間経ったのを確認して台を離れ球を持っていき換金すると、それなりに稼げた方なのかもわからないが、コンビニ横のイートインスペースは待合所にもなっているのか冒険者たちが「幾ら稼いだ?」なんて言い合っている声が聞こえてくる。

暫くするとユキコもやってきて「あまり稼げなかったわ」と口にしていたので、裏技のような方法を教えると、次はゲーセンで一時間程遊んでから挑むことになった。


途端出が良くなったが、やはり吸われる時は吸われるもので、運に左右されるのは仕方ないと多少なりと諦めもつきつつ、まぁ俺の稼いだ金じゃねーし……と湯水のように金貨を使いまくった。


――そんな日がどれくらい続いただろうか?



「は? カプセルホテル行きになったら三日以内に追い出される?」

「何よそれ!!」

「またお金を稼いで魔王ダンジョンにお越しくださいませ~」

「ッチ!! ユキコ!! 最果ての町で金ドンドン卸してからまたすぐ来るぞ!」

「そうね!!」



そう決めると俺達は三日後カプセルホテルから外に追い出されていて、金貨一枚払い最果ての町へと急ぎ、銀行で王家からの金をドンドン引き出してアイテムボックスに仕舞い込んでからダンジョンにとんぼ返りした。

ドンドン自分がのめり込んで行くのが分かるが、辞められない中毒性があった。

スロットも楽しんだしジャラジャラコインが出ると脳汁が出そうなほど興奮した。

通りでゲーセンでもコイン落としゲームが人気高い筈だ。

一気に手に入る高揚感は癖になる!!



「魔王は倒さないといけない、行けないが……ダンジョンだし、ダンジョン主を倒さないといけないが!!」

「でも、倒したらここ消えちゃうよね……」

「だな……」

「やだやだ、こんな娯楽早々ないのに!!」

「調査に手間取ってるってことにしようぜ。冒険者たちも次々戻ってきては遊んでるんだし、ここにいる奴ら全員共犯だろ」

「それもそうよね!」



そういってのめり込み続け、コンビニでは美味いものを食い、たまに違う店で食べたりして満足感も味わいつつ、ゲーセンで気晴らしに遊ぶことも多かった。

ドンドン金は無くなって行ってるのに、俺たちの稼いだ金じゃないしと使いまくった。

金は自由に使えって言われてんだから自由に使っていいんだよ。

国がどうなろうとしったことか。

国は俺達の為に金を稼ぐべきだ。

その考えに行きつくのにそう時間は掛らず、俺とユキコはたっぷり楽しんだ頃、思い出したかのようにカナデと遭遇した。



「カナデ!!」

「カナデ君!!」

「おや、あなた方お久しぶりですね」

「何がお久しぶりだ!! 奴隷だった癖に居なくなりやがって!!」

「勝手に奴隷に落されたのは覚えていますよ」

「っ!」

「どうやら随分とお金を使っているようですね」



何故その事を――と思ったが、俺は鼻で笑い「俺の金じゃねーからな!」と強がると笑顔で「いい事です」と答えて隣に美少女を置きいいご身分だな!!



「隣の子チョー可愛いじゃん?」

「ああ、婚約者のピアリアです」

「こっ」

「婚約者!?」

「キヌマートの次期跡継ぎですから、結婚は早い方がいいと曾婆様が」



思わぬ言葉に開いた口が閉じねぇ!!

こんな美少女を婚約者に添えてるのにも驚きを隠せねぇが、いずれこのキヌマートをカナデが持つのだという事実に怒りが湧いて来た!!



「お、前……魔王側じゃなくて勇者側につくべきだろうが!!」

「は?」

「そうよ! そしたらアタシ達は一々ここに来なくてもコンビニで好きなの好きなだけタダで買えるのに!!」

「何を夢見てるんです? キヌマートは曾婆様のもの。俺が彼是いえる立場ではないんですよ」

「でも!!」

「現実を見ましょうよ。俺はあなた方に無理やり奴隷に落された。違いますか?」



そう言われると……反論出来ねぇ。

無理やり奴隷に落したのは確かだし、酷い扱いをしていたのも事実だ。

でも此奴、魔物には襲われなかったよな……なんでだ?



「そんな方々に仇はあっても恩はありませんよ」

「それは……悪かったって。機嫌直せよ」

「この方々、馬鹿ですの?」

「ええ、ネジがぶっ飛んでるんです」

「そうでしたのね? 通りで言葉が通じないと思いましたもの」

「ははは」



そう美少女に言われて顔が真っ赤になる。

俺の、俺の事を馬鹿だといったか!?

この勇者の俺を!?



「それより、キヌ様より依頼された仕事をシッカリ果たさねば」

「そうですね。遊ぶだけしか能がない誰かとは違い、俺達は働いていますから」

「このっ!!」

「ああ、それともダンジョンの調査……ですか?」

「そ、そうだよ!!」

「ご苦労様です。ではピア、次の仕事に向かいましょう」



そういうと俺が引き留めようとしたが全く俺の声は耳には入っていないようで、護衛と一緒に去っていった。

その護衛の殺気に思わずチビリそうだったが……あの護衛二人は手を出せば俺達なんて軽く殺されるのがすぐに分かった。



「クソ!! なんなんだよ!! なんでアイツばっかりいい思いしてんだよ!!」

「カナデ君の服見た? すごくいい所のブランド品だったわ」

「だから何だよ!!」

「オシャレにも気を使って髪型だって……元々顔も良かったけど、トータルで見てもヤバイわ……」

「俺だってイケてるだろ!!」

「雲泥の差はあるんじゃない?」



その言葉にカッとなってユキコを殴ろうとしたが、寸での所でイザコザを起こした場合、魔王城ポイントが減るのを思い出して止まることが出来た。

クソ、面白くねぇ!!

あの美少女と比べたらユキコなんざ一般人落ちだろうが!!



「イライラする!! スロットでも回してから鬱憤晴らしだ!!」



カナデの事でイライラした俺はゲーセンで一時間パンチングマシーンで遊んでからスロットを回したが、半分吸われて終わり更にイライラした。

本当に運のない日だった……。




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