第46話 古代遺跡群 2
「押さないで、押さないで。」
少し前にエイベルとアイゼイヤの案内で洞窟の奥の古代遺跡に来た。
何故か風化せずに商品を残したコンビニの遺跡があった。
食べられるお菓子があるって言う説明に大喜びしてひとしきり大騒ぎした魔獣っ子達がやっと落ち着いた。
洞窟の突き当たりに半ば埋もれた大きな石の扉の隙間から光が漏れて来ているのを見つけた。
「なになになにがあるの?」
そう言って魔獣っ子達が押し寄せてくる。
好奇心旺盛だ。
ここは結構奥深い上に無数に洞窟があるから探検するのには楽しいかも。
とはいえそんなにみんなで押し寄せたら扉が壊れちゃうんじゃないかな?
「ねえ、見える?何かある?」
みんな重なり合う様にして隙間から光の方を覗こうとしている。
なんだかいけない事をしているような....。
とか思っているとガタンと言って扉の蝶番が壊れたのか扉が倒れていく。
みんなびっくりして身をすくめている。
ドーンと音を立てて扉が石の床の上に倒れて砕けてしまった。
「開いちゃった。」
すると光の方から大きな怒った声がした。
「あんた達ー。何してんのー。」
白い翼が2対に、光る輪っかが頭の上って、ケルビムじゃん。
前世の宗教画かなんかで見た事あるぞ。
怒らせちゃいけない奴じゃないのー。
怒っているケルビムの足元から砕けた扉を掻き分けて光の塊の様な人型が立ち上がる。
「昼寝中に何を騒いでいるのかしら。」
「もう少し光量を落としてくれないと何も見えないんだけど。」
「ああ、そうね。」
そう言って光量を落とした所には3対の純白の翼に包まれた女の子が現れた。
セラフィムだ。
えらいもんが現れた。
「もう少し静かにしてくれないと目が覚めちゃったじゃないの。」
セラフィムの様子を見ているケルビム達の怯えようからとってもやばい雰囲気がする。
「ふーん、あなたがおこしてくれたのかしら。」
ひょいっとムールを摘み上げる。
何故か魔法も発動できないし体に力も入らない。
セラフィムがジーッとムールを見る。
鑑定されている様な感じだ。
「ムールを放しなさい。」
パエリが飛びかかろうとしているが動けないようだ。
「あなたいろいろ訳ありの存在みたいね。主の息がかかっているのね。それなら。」
そう言ってムールのおでこに人差し指の先をちょんとつけた。
すると、急に面倒くさくなったのかムールから手を離す。
「もう少し寝るわ。」
バラバラになった扉が復元して閉じていく。
眩しい光が扉の向こうに封じ込められていく。
それだけの事なんだけれど何故か荘厳で尊いような気がしてしまう。
「あんた、なんか感動しているみたいだけどあの人昼寝しただけだから。」
パエリが言う。
はっと我に帰る。
な、なんだったんだろ。
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