第41話 大山脈 2

用事が済んだらさっさと帰りたいもんだけれど、出かける時は旅の気分でゆっくり行きたいってのはおかしいかな。


場合によっては早く行って目的地を楽しみたいって事もあるし。


べつに急いでもいないし、こだわりがあるわけでもないからいいか。


とりあえずゴーレム馬が曳く馬車に乗って行く。


馬車は地面から少し浮かんでいるのでゴトゴトと揺れるっていうのはない。


ゴーレム馬のパカパカと言う蹄の音がするぐらい。


ゴーレム馬にかかる負荷が少ないので結構馬車は結構早く動く。


座標はわかっているから転移魔法で行っちゃう事も出来るけれどゲームの画像ではない、リアルになったこの世界を見て行きたいんだ。


微妙に前世とは違う草木の植生や見た事もなかった虫や小動物。


物語でしか見られなかったいろんなものに宿る精霊の光や妖精。


この世界なりの理を持つ不思議な事象。


面白いことだらけだ。


ゴーレム馬は疲れることがないので日没後も走り続ける。


ヘッドライトがわりの魔灯の灯りに惹かれるのか虫や小動物、妖精などが馬車について来る。


窓を開けて酷い目にあった事があるのでもうやらない。


「ムール、おなかがすいたー。」


とパエリが言うので馬車を止めて晩御飯の用意をする。


ワーリク侯爵邸のシェフと作った料理をインベントリからだして並べる。


ステップリザードのハンバーグとホッパーのサラダ。

世界樹の葉のスープ。

絶品だよ。


大山脈には大荒野を抜けて行く。


初級ダンジョンより遥かに強力でバラエティに富んだ魔物達が出現するので普通は結界で守られた街道以外を行くのはおすすめできない。


普通はね。


食後にお茶を飲みながら車窓の外を見る。


今日は片方の月が半月でもう一つは三日月。


2つの月が岩と砂しか無い荒野を照らしている。


二つの月は金色の方がルネリリーでもう一方のピンク色の方がカタリリーと呼ばれる。


二つの月は元は一つで人も住んでいたそうだ。


今でもそうなのかはわからない。


ちなみにこの惑星の名ははサイティカで、住んでいるこの地はドルツリア大陸という。


他に大陸があるかどうかはわからない。


ゲームの進行によって変化して行くのかもしれないけれど。


「大荒野って言っても結構いろんなものがいるのね。」


サーフラが言う。


ジュネは旅慣れしているからさほど珍しくもないのだろうか。


馬車の周りには羽虫や小鳥、小動物が集まっているし。




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