第40話 大山脈 1
「くっ苦しい。」
あまりの寝苦しさに目を覚ました。
パエリに抱かれた上からジュネが抱えて抱き枕にされている。
前からも後ろからも丸い弾力性のあるものが押しつけられて息が出来ない。
見かけは幼児のようだが中身は思春期の少年なので本来ならこの状況は大ボーナスなのだが。
どんどん幼児の体に精神が引っ張られるのか、ほぼ性的なことへの感受性がない。
残念。
部屋がたくさんあって就寝する時にはそれぞれの部屋に入ったはずなのにだいたい目覚めるとパエリの部屋のベッドにいる。
最近はジュネが追加されて。その向こう側でサーフラがフェンリルを抱いて寝ているから結局一部屋にみんないる。
サーフラはまだ目覚めてからの身繕いを自分で出来るからいいのだけど、パエリもジュネも恐ろしく寝起きが悪い。
無理矢理ベッドに座らせて、着替えさせて、髪を解いて、結ってと世話が焼ける。
まあ、嫌いではないけれど。
ダリオスのダンジョンからサーフラお嬢様の実家であるテスカの街のワーリク侯爵邸に帰って来た。
ん?「帰って来た?」
まあいいか。
「お帰りなさい。」とワーリク侯爵も邸の人達も言ってくれる。
邸のシェフが嬉しそうにしている。
オレがどんな料理を作るのか楽しみなんだろうな。
ワーリク侯爵邸の中庭をパエリとフェンリルが走りまわっている。
オレは中庭にある東屋で図書室から持ってきた本を読んでいる。
サーフラはオレの隣でダンジョンで手に入れたアーティファクトの使い方を調べている。
かなり魔法師とか錬金術師の雰囲気が出て来た。
今はMPもかなり大きくなったし使える魔法も増えている。
みんなの装備の点検も出来るようになった。
「ムール、なに生あったかい目でサーフラを見てんのよ。」
ジュネがジーっとオレを見て言う。
「私は叔母として言うけどサーフラはいい子よ。大事にしてやって。」
サーフラはアーティファクトに夢中で今の話しは聞いていないようだ。
「サーフラ、次は大山脈に行ってみようか。大山脈にはドラゴンがいるからそのアーティファクトを動かす素材も手に入るかもしれない。」
サーフラがにっこりと笑う。
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