JPopと洋楽の交差するところ 4

 Mr. Vocalist

 Eric Martin


 この企画は2008年のもので、JPop曲を日本のスタジオミュージシャンがバックを演奏をして、これを米国にいる Eric が英語詩で歌うと言う内容のようだ。

 なお、バックの演奏の中に Precious (伊藤由奈)で在日本の Marty Friedman が弾いている。

 個人的に収録曲11曲の中で知っている曲は一曲平原綾香の Jupiter だけ。


 プリンセスプリンセスはテレビで耳にしたことがある程度。Dreams Come True は CD を持っていたはずだが、あまり聴かなかったので覚えていない。


 1〜3曲目までは JPop の中でも特にスローなバラードで、このテンポでアメリカ人エリックが歌うと大陸的な感じがする。

 正直に言うと曲の作り方でバース、ブリッジ、コーラスと言うコード進行がかなりオーソドックスで古いアメリカでのヒット曲のものに近いと思わせる。

 これをセリーヌディオンあたりが歌うと完全にアメリカンポップスのバラードと化してしまいそうな気がする。


 どこかで耳にしていた Every Little Thing の Time Goes By は JPop のかなりメロディーの攻めた楽曲になっている感じだが、これをエリックは見事にこなしている。アルバムタイトルに恥じない歌唱を彼は聴かせてくれる。

 これと同じことが絢香の I Believe にも言える。


 プリンセスプリンセスはもともとJPopの中でもテンポが速い印象だが、これが個人的に日本の音楽を敬遠する要因になっているが、ここに収められている M と言う曲もアメリカンソングだともっともっとスローなバラード曲をテンポを速くしてポップにしていると言うのが俺の感想だ。

 エリックの大陸的な歌唱だからスローにするとかなりそれらしく聴けたかも知れないが、原曲へのリスペクトからそれをしないのだろう。


 中島美嘉の雪の華は曲が凄く美しいバラードだ。本曲を聴いたことが殆どない身で感動したりする。殆どと言うからにはコーラスのメロディーは覚えている。ラジオからなのか、テレビか、CD屋でかかっていたか、有線放送からか結構かかっていた。ここで聴かれるテンポの速度で暴れて感じないバラード曲は21世紀に入ってからの JPop 曲に多いのだろうか。


 Jupiter はさすがのエリックでも音域をカバーしきれていない部分はある。あの平原綾香の天空を突き破る超高音は凄すぎたのだろう。彼女のわずか20歳かそこらであの仕事をするのだか驚きだ。

 これより音域を下に、キーを下げてエリックの音域に合わせたとすると、低い方の音域に限界があるのかどうかわからないが彼は彼なりの力量で感動を誘っているのはさすがだ。

 平原綾香バーションを聴き返してみて、あの日本語の歌詞も伴って涙が出たのは確かだ。あれから20年過ぎたが、この20年日本はどうしたのだろう…


 日本のスタジオミュージシャンの方々も良い仕事をしている。時々煮え切らない部分はあるが良いと思う。


 この CD は彼の参加しているバンド Mr. Big のファンを中心に聴かれたが、このバンドのハードロック的価値観の側面からすると肩透かしを喰らう内容かも知れない。そんなことで中古盤市場に氾濫しているので凄く安く手に入る。


 収録曲

1. Pride  今井美樹

2. ハナミズキ 一青窈

3. あなたのキスを数えましょう~ You were mine〜小柳ゆき

4. Everything MISIA

5. Precious 伊藤由奈

6. Time Goes By Every Little Thing

7. M プリンセスプリンセス

8. I Believe 絢香

9. 雪の華 中島美嘉

10. The Voice〜" Jupiter" English Version〜 平原綾香

11. LOVE LOVE LOVE−ENGLISH VERSION− DREAMS COME TRUE

 

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