JPopと洋楽の交差するところ 5

 BAND WAGON

 鈴木 茂

 このアルバムは1974年製作で、次の年に発売されたもの。

 彼ははっぴいえんどのメンバーであることは有名だが、この作品の作詞でそのメンバーである盟友の松本隆氏が担当している。


 戦後25年だとか30年だとかの意識はあったが、平和な東京のどうでもいいが若い者にとっては大問題な恋愛問題の歌詞とかを四畳半から6畳なり2DKになった少しだけ出世した彼が歌う。そんな感じ。

 しかし、バックはサンフランシスコ界隈のミュージシャンを起用しているだけに違う。


 時代は1974年だからシティーポップではない。ウエストコーストの中でも参加メンバーがリトルフィートの面がいる通りのサウンドになっている。


 個人的にレビューする時避けたかった言い方だが、バックのサウンドを聴いて彷彿とさせたレコードはリトルフィートやDr. John、売れて時の REO Speedwagon 。

 シリアスとは無縁の独特なビートと演奏が日本語の歌と合わさったところにこのプロジェクトの価値がある。


 ネットで無料で聴いた時はシティーポップ風に聞こえたが、ちゃんとオーディオCD を買って再生すると上述のようなサウンドが伝わってくる。


 ホーンセッションで有名なタワーオブパワーのメンバーも参加しているが曲によってそのホーンセッションのサウンドが楽しめる。


 歌詞の中にショーケンが出て来たりして当時の世情が入ったりすると古い我々はニンマリする。


 9曲目の失恋の歌では上述を撤回することになるがシリアスな辛口の曲調で締めくくられるのはさすがと言ったところ。


 インストルメンタルの曲が2曲あり彼のギターも光る。ヴォーカル入りの曲でも彼はギターを弾いている。

 作曲は全曲彼の筆でよるもの。


 これが数年後にAOR系のアーティストによるレコーディングだったらどんなサウンドになるのだろうかと思ったりする。一曲目の砂の女あたりの曲調を聴くとなおさらに。その時彼のギターの音もどうエフェクターをかけるのだろう。

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