ネタバレなし「バッテリー」その1
著 あさのあつこ
野球小説だとわくわくして本を開いた瞬間に目に飛び込んできたのは、雪景色でした。
主人公の巧が父の運転する車で峠を越えている途中で車を降り、雪景色を見るシーンで物語が始まります。
ここで、雪玉をボールに見立てて投げる巧の姿と、雪にはしゃぐ弟・青波の姿が描写されます。
「バッテリー」は自然の描写が素晴らしい作品です。この冒頭もまっさらな雪が目に見えるようでした。
私は大人になってからバッテリーシリーズを読み始めたのですが、驚いたのは巧の両親が親としてだけでなく、一人の人としてくっきりと描かれている事でした。
「母」「父」ではなく、「真紀子」「広」と名前で書かれているのもそれを表しています。
なにより、真紀子視点や広視点のシーンがあります。
特に、真紀子は母である以前に祖父洋三の娘であるような描写が多かったです。母としても、子供からすれば鬱陶しい言動がある。しかし母としては当然の思いなのかもしれない。
大人になって読んだから真紀子の気持ちも巧の気持ちも分かるのですが、子供の頃に読んだら私はどんな感想を抱いていたのだろう……と思うのです。真紀子に反感を抱いたかもしれないなと。
逆に、子供を持ったとしたら完全に親目線となり、真紀子や広への感情移入が強くなって巧に共感できなくなるのでしょうか?
という疑問も持ちました。
子供のうちに読んでおけばよかったと思いますが、子供を持つ前に読めただけでもよかったのかもしれません。
バッテリーシリーズの感想は今後も載せる予定です♪
公募勢、作家を目指して本を読む 左原伊純 @sahara-izumi
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