苦戦とバレる

 バトルアックスを持ちながら幸は、ジェルスラキングとの間合いを取る。

 ジェルスラキングは、プルンと体を震わせながら幸の方を向いた。

 それをみて幸は考えている暇がないと思い、即座にバトルアックスを振り上げる。


「ウオォォー……」


 そう叫びジェルスラキングへとバトルアックスを振り下ろした。

 振り下ろされたバトルアックスの刃は、ジェルスラキングにあたる。だが、プルンッと弾かれた。

 ジェルスラキングは、幸の方へ倒れようとする。

 それに気づき幸は、遠ざかろうと立ち上がり素早く後ろに跳んだ。


「……!?」


 後ろに跳んだ幸は、プルンプルンした物体に体当たりし弾かれる。

 幸は弾かれるも空中で体勢を整え地面に着地するが、よろけて尻餅をついた。


「クソッ……もう一体だと!」


 悠長に座っている暇もなく幸は、即座に立ち上がると二体のジェルスラキングを交互にみる。


(考えている暇がない)


 二体のジェルスラキングは、幸を押し潰そうとした。

 咄嗟に幸は、体を回転させバトルアックスを振り回し二体のジェルスラキングにあてる。


「ウオリャァァァー……」


 そう叫びながら、刃をあてていった。


 ――ギュギャァァー……――


 二体のジェルスラキングは奇妙な叫び声を辺りに響かせる。

 しかし幸の攻撃は、たいしてダメージを与えられなかった。

 そのためジェルスラキングの傷は、すぐに塞がってしまう。


「まだだぁー……」


 そう叫び幸は、再び攻撃しようとする。

 すると二体のジェルスラキングが口から粘着液を吐いた。

 それに気づき幸は、避けようとする。だが間に合わず体に大量の粘着液を浴び、バタンっと地面に倒れる。


「……まずい!?」


 幸はなんとか動こうとするも、自分の体が地面にくっ付いてしまった。

 すると二体のジェルスラキングは、幸を押し潰そうとする。

 それをみた幸は、このままじゃ死ぬと思い必死で体を動かそうとした。だが、動かない。


(これまでなのか……)


 そう思い幸は諦めかける。

 すると幸を囲むように無数の壁が現れた。

 二体のジェルスラキングは、その壁に弾かれ後退する。


「何をやっているんだ!?」


 そう叫びながら波留が幸のそばに駆け寄った。


 そう波留は幸とミクセアが町を出ていくのをみて、ライゼルと共にあとをつけて来たのである。


 因みにライゼルは、二体のジェルスラキングと戦っていた。


「波留、あとをつけて来たのか?」

「ああ……そうだが、なんて無謀な戦い方をしている? いや、どうして能力を使わない!」


 そう言われ幸は、無能力だからと云えず黙る。


「なんで黙る?」


 そう言いながら波留は、幸の体にくっ付いている粘着液を取り除いていった。


「コウは、能力がないからよ」


 そう言いミクセアは、幸の傍へとくる。


「それってどういう事だ? 幸は、女神に召喚されたんだよな」

「ミクセア……ハァー、まあいいか。ああ、俺は女神に召喚されたがギフトをもらえなかった。いや、女神が云うには授け忘れたらしい」


 それを聞き波留は、真顔になった。


「もしかして俺の誘いを断ったのって、そんなくだらない理由でか?」

「そういう事だが……俺にとっては、くだらなくなんかない!」

「呆れるな……能力ないなら、余計に仲間が必要じゃないのか?」


 そう言い波留は、幸を見据える。


「そうだな……波留、すまない」

「ああ、大丈夫だ。じゃあ、俺とライゼルはジェルスラキングを倒す」

「悪い、俺は……ミクセアと能力者を探してみる」


 幸はそう言い立ち上がった。


「無理はするなよ」


 そう波留に言われ幸は頷く。

 そして幸はその後ミクセアと能力者を探したのだった。

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