探索と待ち伏せ

 ここはバルデアの森の中。


 あれから幸とミクセアは、何もなかったように食事を終えると準備をした。その後、屋敷を出てこの森までくる。


 そして現在、幸とミクセアは森の奥へ進み歩いていた。


「やっぱり、ジェルスラしか出ないな」

「そうね……昨日とは違う場所を通っているのですけど」

「ああ、明らかに変だ。でも、どうやってジェルスラだけを残しているんだ?」


 そう言うと幸は、不思議に思い考える。


「もし能力者だとして……どんな力なのでしょう?」

「んー……魔物を生成するのも違う。そうなると……いや、思いつかない」

「そうですね。どうしましょう……もう少し進みますか?」


 そう問われ幸は頷いた。


「勿論だ。何も分からないまま戻ったら、ここに来た意味がない」

「ええ、そうですわね」


 そうこう話しながら二人は、更に森の奥へと向かう。


 すると黒い影が木の上を跳び越えながら二人のあとをつけていた。


「ボクと同じ世界の者か? まあいい、どんな能力を使うのか楽しみだ」


 そう言いその影は、スッとこの場から消える。


 ◆◇◆◇◆◇


 幸とミクセアは、洞窟の近くまできた。


「洞窟か……もしかして、この中にいないよな?」

「でも、隠れるのには絶好の場所だと思いますよ」


 そう言いミクセアは、なぜかワクワクしている。


「確かにそうだが。下手に入るのは危険だ」

「そうかもしれませんが……闇雲に歩いていても仕方ないと思いますわ」

「そうだな……まぁ、無理だと思ったら出てくればいいか」


 そう幸が言うとミクセアは頷いた。

 その後、二人は洞窟の中に入る。


 ◆◇◆◇◆◇


 ここは洞窟内。

 幸とミクセアは、洞窟の中に入ると辺りを見渡してみた。


「暗くて、何もみえない。やっぱり、外に出よう」

「そうね。それに人が居るようにも思えませんし」


 そう言い二人は洞窟をでる。と同時に、目の前にジェルスラキングが居たため驚き後退りした。

 そのジェルスラキングは、約十五メートルもの高さで幅が約三十メートルもある巨体だ。


「クソッ! 待ち伏せされた」

「コウ、どこかに能力者が居るのかしら?」


 そうミクセアに聞かれ幸は首を横に振った。


「どうだろう……居る可能性はある。だが居たとして、どこに……」


 そうこう話してるとジェルスラキングが体当たりしてくる。

 それをみた幸とミクセアは、咄嗟にお互い両脇に避けた。


「ミクセア、大丈夫か?」

「ええ、私は問題ありません」

「それなら良かった。こっちも大丈夫だ。そうだな……ミクセア、気配は感じるか?」


 そう聞かれミクセアは気配を探り始める。


「コウ、微かにですが。ただ、位置までは分かりません。ですが、集中すれば位置を特定できるかも」

「分かった。じゃあ、俺がこのジェルスラキングと戦う。その間ミクセアは、少し離れた場所で居場所を探ってくれ」

「分かったわ。コウ、気をつけてね」


 そう言いミクセアは、この場から少し離れ気配を探った。


「ああ、そうだな。やれるだけのことを……いや、全力で行くっ!!」


 そう言い放つと幸は、バトルアックスを持ち構える。そしてその後、ジェルスラキングを見据えた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る