孤独な影

春川 麗桜元いくら 猫部所属

孤独な影

この公園は朝から夕方まで、多くの人が立ち寄る人気な所。だけど夜になると人っ子一人いなくなる。大人も……子供も、夜になった突端みんな、姿が消えるのだ……

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ここは東山公園。一度学校の行事のピクニックでこの公園へ行き、遊具もいっぱいあるし、広いからいつも友達とここで遊んでいる。今日は友達の葵とブランコを2人漕ぎしながら遊んでいる。


「わ~。2人漕ぎ楽しい~!」

「そうだね。でも、ただ漕いでても面白くないな~、しりとりとかしない?」

「それならいい話があるよ。知ってる? この公園の怖い話」

「怖い話?この公園の?」

「そう! というかこのブランコの話だよ!」

「え!?」


 私は怖くなり、すぐにブランコから飛び出した。すると一緒に乗っている葵がバランスを崩してしまい、倒れてしまった。


「葵! 大丈夫?」

「いてて、なんとか」

「ごめん! 私が考えっこなしに飛び降りちゃったから……」

「ううん。こっちこそごめん。環奈は怖い話苦手なのに」


 葵はブランコの周りにある棒にぶつかりそうになりながらもなんとか手を使って棒を避けていたのでけがはなかった。


「あれ?これは……」

「どうしたの?もしかして頭打った!?」

「いや、ぶつけてないけど……この棒を見て」


 葵が向いている方向の棒を見ると、そこには血痕がこびりついてた。


「これは……血?」

「もしかして……私が言おうとしてた怖い話の……」


 葵がそう言ったとき、周りが暗転した。


「え? 葵、なにかした?」

「いや、私はなにも……」


不意に上を見てみると、そこにはいくつもの星が輝いていていた。星が出ているということは、夜になっているということだ。


「もしかして、さっき言ってた怖い話と関係が?」

「わからない、けど、もしかしたらと思って」

「どんな話なの?」

「……このブランコには、夜になると1つの影が現れるの。その影はもともと夜に2人で一緒にブランコに乗っていた。けど、目の前に何かの影が現れて驚いてしまい、ブランコから飛び出すように逃げていってしまった。すると、一緒に乗っていた子がバランスを崩してしまい、ブランコの周りにある棒に頭が当たてしまったの」

「じゃあ、あそこの棒に付いていた血痕は、もしかして……」

「頭をぶつけた子は亡くなってしまった。だから、待っているの。ブランコにのって」


 すると、後ろにあるブランコから『ギィ……ギィ』と、音が鳴った。すぐさま後ろを向くと、周りの黒さよりも、もっと黒いような影がブランコに座っていた。


「あれは……まさか、葵!一緒ににげ……」


隣にいた葵の手をつかもうとしたが、手はスカっと虚空をつかんでいた。


「葵!葵はどこ!?」


『一緒に乗ろう。一緒に乗ろう』


 黒い影の手が私の手首を捕まえて引き込まれていった。


『もう死なないでね。もう死なないでね。』







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