第37話

 銃をしまった後は、家を出てマンホールを探した。


 家の横のちょっと隙間に、閂をかけられたマンホールを発見する。


 そのまま下水へ降り、アジトへ向かい荷物を運ぶことにした。



 往復で40分程かかったが、アジトで使っていたモノは、家でも使えるので大事に使わないとな。


 2階の寝室に荷物を運び込み、1階の広いリビングで休もうとする……


「あれ? この世界って、家具が備え付けなのか?」


『いえ、そんなことは無いと思います。新しい家具ではないので、中古品を綺麗にしたものだと思われます』


 ギルドマスターが手配してくれたのかな?


 そういえば、ベッドも普通に置いてあったな。布団は無かったけど、それはシュラフを使えば問題ない。アジトで使ってたキャンプ用の椅子は、下水倉庫にでも運んでおくか。


 一応キッチンはあるけど、食材何かは何処で買うのだろうか? スーパーみたいな場所があるのか、それとも八百屋か?


 そういえば! お風呂があるんだった!


 この世界の光熱費は家の大きさで基本使用料が決まっており、その基本料で使い放題であるため、常に電気を使い続けても値段が変わらない。お風呂も広い場所を選んだし、ゆったりと入れるのは嬉しい。


 この世界では、光熱費の節約が無いみたいだ。それも電気に関しては、常温熱核融合炉の実用が実現しているため、安価で安全に使える電気が大量に存在しているからだ。


 常温熱核融合炉に使う燃料も、安価で大量に生産することが可能になっており、従来の核融合炉より安全安心に電気生産が行われている。


 水の精製も下水の遺物のエネルギー源も、その他諸々に使えているので、使用料金として一定金額を払うだけで問題が無いそうだ。


 これによってどんなに小さな街でも、独立独歩で営むことが可能となっている。


 それによって、大きな問題も出ている。


 ある程度の戦力を確保できていれば、荒野を切り開いて研究施設を作ることが可能なのだ。


 そのため、ハンターも寄り付かない場所に、秘密研究施設を作ったりしている企業があったりする。


 禁止はされているが取り締まる方法がないため、ハンターに見つからない限りは放置するしかなくなっている。


 地域ごとに、ある程度支配している企業が存在しており、その企業が複数あつまり連合をつくって、その一帯を支配しているのがこの世界の現状のようだ。


 国という概念が無くなり、企業連合が国の役割を担っている形のようだ。


 旧世界の日本だった場所は、今は地域ごとに分かれているような状況らしい。


 大きく分けて、北海道・東北地方・関東地方・中部地方・近畿地方・中国地方・四国地方・北九州・南九州・沖縄に分かれているのだとか。


 この中で、北海道・中部地方・中国地方は、秘密研究所が多いとされている。


 北海道は、広いが出入りの監視がしやすいため、支配している企業からすると、都合のいい地域という事のようだ。


 海上を移動する方法もあるが危険が高いので、基本的には沖縄の行き帰りや、旧世界で言う所の台湾や朝鮮半島へ移動するためのに、仕方がなく大規模な船団を組み移動するそうだ。


 ちなみに航空機が使われていないのは、空は完全にモンスターの領域になってしまったため、今では個人で低空を飛ぶことはあっても、飛行機で空を飛ぶことは無い。


 電波は、シリコン生命の謎の能力で、長距離を通信することが出来ないので、有線で繋がっていない現代では、長距離通信の方法は存在していない(ナビィを除いて)。


 理由は分かっていないが、旧世界の通信方法が使えているのは、ナビィだけのようだ。


 俺のいる中部地方は、四葉・雷電・森羅の3企業が支配しているみたいだな。


 北側……新潟・富山・石川・長野の北側が森羅。

 西側……福井・岐阜・愛知が雷電。

 東側……静岡・山梨・長野の南側が四葉。


 といった感じで大きな支配が行われており、この3企業が集まって中部地方を支配しているような形だ。


 俺の銃のFLAR-11のFLは、四葉……フォーリーブス、四つの葉でFLと表記されている。


 地域を支配している企業の銃だから選んだわけではなく、支配地域だけあって性能の割に一番安く手に入るからだ。他にも、壊れた際に同じものを手に入れるのが容易いためだ。



 たっぷりといれたお湯の中に沈みながら、ナビィから色々教わっていた。国が無くなっていたことや街が単独で成り立っていることには驚いたが、説明を聞けば何となく納得できた自分がいた。


 リュウには国という概念は理解できず、アルファだけが納得した形ではあるが、こんな世界で国なんて維持は出来ないか。日本でこれなら、アメリカなんて50州がいくつに別れたのやら。


 ちなみに朝鮮半島は2つの企業が支配しており、台湾は4つの企業が支配している。台湾は中部地方より狭いが、4つの企業が支配しているんだな……なんて思っていた。


 久しぶりのお風呂は、気持ち良かった。リュウにとっては初めての体験だったが、好印象のようだな。


 日本人のDNAには、お風呂に対して何かしら刻まれているのかね?


 まぁ、日本人でもお風呂好きもいればそうでない人もいたし、2~3日はお風呂に入らない人もいれば、1日に2回……朝シャワー、夜お風呂に入る人だっていたからな。


 日本人だから……というのは偏見か。


 お風呂から上がった後は、力尽きたように朝まで眠ってしまっていた。



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