第3話 滅んだ国と行く大切な人々と悲しみの姫
俺は、あれからギルの事を考えては落ち込んで立ち直ったら落ち込んでを繰り返していた。
ダリアは、そんな俺を見ながら何か険しそうな表情で、手を顎に当てて眉間にシワを寄せながら、何か難しいことに取り組んでいるかのような、顔をしていてた。
俺にとっては、何故自分のことじゃないのにしかも俺のことなんかに、そんな真剣に悩んでいたのか一切分からない。
別に、ダリアにとって俺は所詮ただの親の仇で、むしろ滅ぼしてやりたい存在なのに。
「勇者アドル……お主は、何の為に人は戦えばいいと思う」
「それは……マホナを助けるため……後、俺みたいな奴を生み出さない……これ以上苦しみ人間を発生させないためだ」
「まあ、そんなところだろうな」
ダリアは、意味ありげな言葉と顔に影を作り暗い表情をしながら、近くの大きな石に座っていて足を伸ばし寂しそうにしていた。
俺が、まるで大事なことに気が付かなかったように。
「アドルよ……お主は、どうすれば人々は良くなると思うか?」
「それは……ひた向きに俺が頑張って、それを見せて人々に伝え続けることで……」
ダリアは、いきなり俺の方へと顔を向けて睨み、真剣な表情で叱責するかのうに問いかける。
「それでは……人は、変わらん……」
「だったら、もっと俺が伝わるまで頑張る!」
「それでも……人の考えは変わらんよ……」
俺は、そのダリアの言葉に否定したくてうずうずする、まるで嫌なことをつつかれて気分がイライラして仕方ないそんな感じに。
「だったら! どうすればいいんだ!! じゃあ、あれか! 全て、無駄なのかよ! 何をやっても!」
「そうは言っておらん、ただ……この問題そんな簡単なことじゃない……人の根本的な問題……つまり、性質なのだよ。本来、人々は何かにすがり付き……現状維持を求める! たとえ……それが、自分達を滅ぼしてしまっても……それが、人って奴なのだよ」
「はあ……意味がよく分からん」
俺は、全くダリアが言ってることが理解出来ない。
人間は、全員個々の考えを持って行動しているし、そんな操り人形のような理不尽なルールに従っている奴いるはずないと。
「これから、通る村がそうなのだ……」
ダリアが、言い歩いていくと前に村が見えた。
やっと、休めると思い安心して近付いていけばいくほど木々は、枯れていて畑は栄養がないし何も実っていないことが分かる、そこの村に住んでいると思われる人は、痩せ細りながらもクワを手に持ちおもいっきり、振り上げて耕そうと力をいれて汗だくになりながら、必死にやっていたが明らかに植物が育つような土ではない。
とてもじゃないが、俺が思い描く明るい雰囲気ではない。
「なんだ……ここは……」
「はぁ……やはり、こうなっていたか」
「どういうことだよ!」
ダリアは、どうやら自分の父親の魔王とここに来たことがあるらしい。
ダリアいわく、昔からこの土地には何も生えないらしく、ここにいる人達はいつも飢えに苦しんでいて、誰も助けないという。
「そんなの……可笑しいだろ……もう、魔王は倒したはずだ! なのに……そんなのって……」
「だから……前に言っただろ……これは、貴様ら人間がやっていることだと! 父上は、悪くなかったとな!」
「嘘だ! うそだうそだうそだうそだうそだ……こんなの、幻覚だ!」
「幻覚ではない! これが、貴様ら人間の性質だ! これこそ、この世界の真実の姿だ! 立場の強い者は、弱い者を支配してそれに弱い者は従う! それが、本来の人間」
俺は、納得いかなかったので村人達に声をかけてみたが返事なく、ひたすら作業に集中して何度も土を掘って、凸凹が出来てやる必要がないのに同じことをしていた。
「やめろよ……やめろよぉぉぉ!!」
「無駄だよ!」
何処からともなく、少女の声がしていたのでそちらの方を見てみると、家の影のところに少女が座っていていた、ボロボロの服をきていたものの血色はよく、ここの住人のようには見えない。
とりあえず、俺は少女のところに歩いていきそばに座り、話を聞いてみることにした。
「どういうことだよ?」
「それは……村の人達の、首を見てごらん」
少女がそう言うので、色んな人の首もとを見てみると首に鉄の錠がはめられていて、まるで奴隷のような状態だった。
よく見ると、腕にも足にも付いていた。
「ここでは……支配者に逆らうことは死ぬことになるんだよ」
「え? そんなことがあるわけ……」
近くで、バーンと音が鳴っているのが聞こえてきたので驚き恐る恐るそっちに顔を向けると、焼き焦げた人の形をした物が倒れていた。
プスプス焼けていき、煙をあげながら。
「あの人も……遂に、限界がきて命令に逆らってしまったのね」
「どういうだよ! 何で、いきなり人が焼けて……」
少女は、壊れた鉄の輪っか型の錠を持ってきて、文字が書かれた部分を指を差しながら説明する。
「ここに、文字が書いてるでしょ……これは、命令に逆らったら発動するようになってるの……つまり、私達はその人間の奴隷なの……だから、支配者であるルーラー・アブソリュートには誰も逆らえない……」
「そんなの可笑しいだろ! 何で、そんなものはめてるんだ!」
「それは……私達は、元々栄えた国の住人にだった……とある国との戦争に負けるまでは……そこからは、そこの国の奴隷の証として錠を付けられて、逆らえば命はないと言われてここに連れて来られて、朝から晩まで働かされている」
「……」
俺は、その悲しい現実を知り何も言えなくなった、絶望的な永遠に続く地獄にでもいるそんな感覚に襲われて。
俺は、少女の言葉を聞き暫く悲しみにふけていると、馬車が通っていくのが見えてそこから降りてきた、太っていて髭が生えているとてもじゃないが、ここの住人ではない。
少女が言っていた、支配者のルーラーということがすぐに分かった、場違いの綺麗な整った服を着ていてニヤニヤと嬉しそうにしていて、村人と違いうつむいた表情を全然していなかったので。
「くそ! アイツかよ!」
「後……変な気は、起こさない方がいいよ……ルーラーの周りには、一級の剣士や魔法使いがいるから、一瞬で消し炭にされか切り刻まれる……たとえ、伝説の勇者のアドルが相手でも人数が違うから」
「俺を知っていたのか?」
「それはそうだよ……だけど、力はもう使えないんだよね? 女神に、他の者に与えられて」
俺は、挙動が可笑しいのでそこに突っ込んでいた、目も泳いでいたし。
「何で、そんなことも分かるんだ? こんな町外れの村で」
「それは……噂づきの人がいて……そこで……」
少女は、大量の汗を顔に流していてとてつもなく怪しいが、あまり詮索はしない。
色んな言えない、事情があるんのだろうと実際国にの奴隷となってるわけだから。
俺は、それでも少女を疑ってはいたが首には村人が付けているだろう、錠はなかったし何もこの子働いていなかったので。
ルーラーの元に、青年がやってきてこちらを見ながらやってきて話し合っている。
少女は、その青年は手下の用心棒で剣士のレオ・ナイトとだという、国の裏切り者でルーラーの身をいつも守っている。
少女は、余計にルーラーに手を出す奴はいないとも話す、その強さは国の直属の雇われている剣士そのもので、どのみち誰も勝てないから。
「分かった?」
「あ……ああ」
俺は、磐石なルーラーの周りになす術はないと悟る。
ルーラーは、そんな俺を知ってか知らずか相手にせず、手下の兵士が村人き食料を渡していたが痛みかけた野菜や、質の悪そうな米を一人つづ渡していて見ていて気分が悪くなる。
「アイツ……ろくでもねぇ」
俺は、その現状に怒りを覚え拳を握り歯を食い縛り、我慢するが抑えられそうない。
ここまで、敗戦国にするんだなんて許せない。
「いやいやいやいや! 実に、愉快だな!」
「さようで……」
「滑稽だよ! こんなことをされても、一切されても何もしないとはバカなのか! この奴隷たちは! 出来ないか~ワシの、言葉一つで一瞬でボカンと爆発して死ぬんだから! あははははは!!」
「そうでありますね……」
ルーラーは、奴隷になった村人を見ながらまるで家畜にでも言うように、嘲笑い楽しそうにしていた。
俺は、耐えれそうになく持っていた剣を抜こうとするが、察知したのかレオの鋭い眼光が俺に向けられて、ルーラーを倒そうするのはやめた。
レオは、少女が滅茶苦茶強い剣士だと言っていたし、こちらの殺気を読める奴なのだから今の俺じゃあ倒せないから。
俺は、暫くこの村に住みルーラーの隙を伺うことにして、生活をしてみたところルーラーは部屋にいるときだけ、護衛をつけていないということに気が付いたので、夜に襲いにいく。
「これで……お前の、支配から村も救われる!」
俺は、部屋のベッドで寝ているルーラー目掛けて、剣を振り下ろそうとするが男の声で止められる。
「待て! 貴様! そこで、何をしている!」
「くそ! 見付かった!」
「お主が、夜中ならやれるとか言うからではないか! どうするのだ?」
俺は、ダリアと一緒にルーラーの暗殺を決行するが、どうやらすぐに手下の青年のレオに見付かり、失敗に終わり騒ぎでルーラーも起きてしまった。
「どうした? レオ……これは、どういうことだ!」
「コヤツが、ルーラー様を暗殺しようと計画していたのしょう……今すぐ、コヤツを倒しますから安心してください」
「お~い! 護衛兵たち! さっさと、来んか!」
ルーラーの、呼び出しにレオ以外のもの達は来ずに、ひたすら叫びが音だけが部屋に響く。
「どうなっておる!」
「みな……寝ております」
「ふざけるな! あやつら、肝心な時に来ないでどうする!」
ルーラーは、落ち着きをすぐに取り戻してレオに俺を殺せと命令する。
「まあ……いい……目障りだ! コヤツを早く殺せ!」
「はは! ふん!」
レオは、俺に向かっていき剣を振り下ろそうと斬ろうとしたその時、少女が待てと言う思い止まり剣を鞘に収める。
「何だと……何故斬らぬ!」
「それは、出来ません! あなたの、命令と言えど!」
「ふざけるなよ! ワシが、お前の主だとわかっているのか!」
「私の主は、グリートの一族の皆様とその姫でである、エリザベート・グリート様だけだ!」
レオは、主のルーラーに逆らい少女の命令に従い俺を斬るのをやめた。
俺は、驚愕するがルーラーに逆らったことより、このみすぼらしい格好をしている少女が姫様であることに。
「もう……いいのですよ……レオ! 私のことより、家族のことを考えなさい!」
「そうだ! お前の家族がどうなっていいのか!?」
「もう……お前に従う必要はないと……分かったからな、家族を奴隷のように扱い殺したことも知れたしな!」
「何故それを!?」
ルーラーは、隠していたことがバレて内心穏やかじゃなかったのかうろちょろと周りを動きながら顎を手に当てて考える。
「ルーラー・アブソリュートよ! 貴様は、外道だ! 私の大切な家族を、ボロ雑巾のように使い捨て殺したことも! 姫様の家族を殺したことも! 絶対に許さん!」
「そうです! この者は、私の大切な民を苦しめた化け物です! ですから、倒してください!」
「姫様からも、許しを得た! さあ! どうする!? ルーラー・アブソリュート!!」
「ぐううううう!! 貴様ぁぁぁ!!」
ルーラーは、じたんだを踏み悔しそうに顔を真っ赤にしておもいっきり地面を蹴る。
俺が、思ったのだがニヤリと不適に笑い策を思い付いたのか、エリザベートの背後に回り込み首に持っていたナイフの刃先を突き付ける。
「形勢逆転だな! どうする!? 貴様ら!」
「……ぐぅ!」
「私のことはいいです! この者をどうにかするために、私ごと斬ってください!」
レオは、元姫様のエリザベートを人質に取られて、何もすることが出来なかった。
「もう、私の国は滅んだのです! だから……うぅ……私ごと、この者を斬りなさい! これは、命令です!」
「たとえ……姫様の命令でも出来ません! それに、国は滅んでいません! この村に、姫様を待っている民はいます!」
「そうだぁぁぁ!!」
何処からともなく、痩せ細りながらもやってきた沢山の村人達が、ルーラーはそれを見て逃げられないと悟ったのか、エリザベートを突き飛ばして魔法で殺そうとする。
「もう! どうにでもなってしまえ! それに、国に戻ればこんな村また生きていれば買い直せるからな! あはははははは!!」
「助けて!」
ルーラーは、手をエリザベートに向けて黒い火の玉を出す、本当に殺そうしていた。
とっさに、レオが前に出て黒い火の玉を受けて燃えていく。
「ぐわぁぁぁぁ!! 姫様! こ無事で! プスプス……」
「レオ! 何でこんなこと!」
「姫様を……守るのが……兵士の役目ですから」
「うぅ……ぐずぐず……」
エリザベートは、黒い炎に焼かれているレオを見ながら目から涙を流し、大量の鼻水を垂れ流す。
「ルーラぁぁぁ!! お前は許さねぇ!!」
俺は、ムカつきがたまっていたのかルーラーの元へと、目掛けて自然に足が動き剣を振り下ろして斬ろうとするが、ルーラーが俺目掛けてレオに打ったであろう黒い炎を出す、魔術を打ってくる。
「がはははははは!! 終わりだ! 勇者! アドルよ! 所詮、貴様は女神に見捨てられ誰も救えない底辺だ! ここで終わるのだ!」
ルーラーは、どんどんと黒い炎をでかくしていき放とうとするが、レオが腕を抑えて村人が足を掴み身動きが取れなくなって、炎が消えて魔法が失敗する。
「離せ! 貴様ら!」
「打って! 俺ごと、炎の魔術で焼け!」
「そうだ! 俺らは姫様のためにコイツと一緒に心中する!」
俺は、ダリアに黒い炎を出す魔術の使い方を教わり、手をルーラーに向けて焼かれろ黒い炎のに永遠に!
と唱えると黒い炎が出現し、ドンドンとでかくなっていく。
何故か、何時ものろくでもない暗い幻覚は見えなかった、俺も成長したのか。
「これくらいなら、奴を倒せる! 放つのじゃ! 奴を倒せ!!」
「ああ! 分かってる!! 絶対に、コイツだけは許せねぇ!!」
「やめてぇぇぇ!!」
エリザベートは、レオを焼き死ぬまいと叫ぶが俺は止めること出来ない。
一度、発動した魔法は解くことはできないから。
「私の! 大切な、家族の兵士が死んじゃう! うぅ……やめて……私の大好きな人……男の子を助けてぇ!」
「くそ! 止められねぇ! やめろぉぉぉ!! 止まれよ! 止まってくれ!!」
俺の発動した、魔法は止められずルーラーに向かって黒い大きな人を包み込めるサイズの、炎が徐々に向かっていく。
「離れて! レオぉぉぉ!!」
「幸せでした……私を……孤児になった、王様が拾ってくれて……しかも、こんな立派な姫様に愛されて……ぐわぁぁぁぁ!!」
「レオ……うぅ……レオぉぉぉ!!」
エリザベートの思いは、虚しくルーラーと一緒に焼かれていく。
「おのれぇぇぇ!! 勇者アドルよ! 貴様は、これから地獄が待っておるからな! 覚悟するんだな! あはははははは!! ぐわぁぁぁぁ!!」
ルーラーとレオは、共に焼かれていき倒れ黒焦げになって死んでいた。
エリザベートは、地面に膝をつけてうつむき泣いていた、涙は地面に落ちていたその周りだけ色が濃くなる。
「何が、勇者アドルよ! うぅ……私の大切な、人も守れないのに救世主ぶって! ぐずぐず……あなたのことなんて、もう見たくない! それに、返して! 私の大切なレオを! じゃなければ、私に顔を見せないで! 二度と! 出ていって!」
俺は、エリザベートに背を向けて歩いていく。
ダリアに、目的地の道を教えられて。
ダリアが、途中いいのかとエリザベートの発言に何も言わなくてと、話していたがまた結局守れなかったのは事実だから、俺は言い返すことは出来ないといい、二度とこのようなことがない為に心に誓い後を進む。
反旗を翻して~チートを与えられてハーレムを満喫していたが魔王の娘に言われて社会の闇に気付く~ 黒金 影輝 @voltage
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