第35話 蜘蛛の侵攻
ドカーン!!!!
その時迷宮の入り口の方からなにかが崩れ落ちる音がした。
「おい、まさか、いくらなんでも早すぎる!」
ルーファが焦ったように言った。
「ルーファ、どうする?とりあえず、迷宮とは反対側に逃げる?」
「そうだな。とりあえず反対側に逃げよう。都市の出入り口はおそらく大混乱に陥るだろうししばらくは出れない。もし、都市が崩壊するようなら城壁の上まで無理やり上がってそこから私の浮遊魔法で飛び降りて逃げよう。さぁ!お前もこい。ここは危険だ!」
アリアはルーファから差し伸ばされた手を掴まずギルドの入り口から出た。
「さぁ、スケさん!皆さんを助けに行きますわよ!」
ーあーあ、あの2人がアリアを保護してくれたらよかったのにー
この騒ぎに一番早く駆けつけたのはクラン フロントラインだった。
「状況は!?」
アイリスは集まっている領兵に話しかけた。
「アイリス様!今迷宮の入り口で蜘蛛と交戦中です。今溢れ出てきた蜘蛛たちはC級、E級ですが、いつB級、A級の大物が出てくるかわかりません。どうか早く応援に!」
「わかった!フロントラインはこれより都市防衛のため蜘蛛と交戦する!みんないいか!?」
「「おう!!」」
連れてきたフロントラインのメンバーが答える。
「ギルド、主要クランやパーティ、領主に伝令は出しているか?」
アイリスが領兵に聞いた。
「はい!すでに送っています。増援も続々とやってくるかと!」
「では、まずは増援が来るまで私達で蜘蛛どもをここで食い止める。増援が到着し、戦力が整い次第、一気に蜘蛛どもを迷宮に押し返す!」
アイリスたちは駆け出し蜘蛛たちに向かっていく。
すでに領兵達と蜘蛛たちが混戦状態であった。
そしてアイリス達フロントラインが参戦し状況は一変する。
それはそうだろう。アイリスはS級冒険者。連れてきたフロントラインのメンバーもA級冒険者を筆頭とした精鋭達だ。C級、E級のモンスター達では相手にならない。迷宮から続々と湧いてくるとはいえ各個撃破されて防衛ラインが形成されて行った。
「こりゃやべーな。だけど、まだやばいのは出てきてねぇ。迷宮に蜘蛛たちを追い返すぞ!」
奇跡の剣のメンバーを引き連れて到着したアルドが大剣を抜いてそう言った。
クーリッヒの最強クラスのアルド達奇跡の剣といった冒険者達や、マッスルクラブなどのクランの援軍も到着する。
クーリッヒ側の戦力が揃い、蜘蛛を追い返そうとしたその時、迷宮の奥の暗闇から黄金に輝く毛を持つ悪魔が地上に這い上がってきた。
一気に戦場の空気が変わる。その黄金の毛をもつ巨大な蜘蛛がでてきた後からさらに、ぞろぞろとAランクモンスターやBランクモンスターが出てくる。
自然と冒険者、領兵たちの足が止まり、鼓動が早まる。
「ここが地上…」
「おい、おいおい、念話かこりゃ?凄まじく知能が高い。」
アルドが冷や汗を流しながら言う。
「それだけではない。これだけのモンスターを従え統率し、あの数のBランクモンスター、さらには10匹以上のAランクモンスターを従えるモンスター…魔王だあれは!」
「ん?私が魔王?あぁ、そうだな確かにお前たちで言う魔王に該当するかもな。だが、それは私ではないだろう。族長がそれに該当する」
「族長だと?お前が…その威圧感で一番強いわけではないのか。」
アルドか冷や汗をかく。
「族長は私より圧倒的に強い。だから族長なのだ。もういいだろう?急いでいるんだ。皆のもの滅ぼせ!」
ギシャー!!!
ナラの号令で蜘蛛達が一斉に解き放たれた。
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