第3話 俺の幼馴染がこんなにカワイイはずがない
閑話休題、少し僕の憧れの幼馴染の自慢をさせて欲しい。
彼女とは幼稚園からの付き合いで、昔の彼女は人見知りな性格でいつも僕の後ろを歩いてついてきていた。
しかしそんな彼女はとても優しくて、困っている人がいれば怖がりながらも助けたし
いつも笑顔で人に接していた。
この時の僕の気持ちを答えなさいとゆう問いがあれば、この男の子は女の子に恋をしていると答える。
こんな可愛い生物は世界広しと言えど日本の僕の目の前にしか存在していないはずだ。
だから僕は、良く遊びに誘ったり周りからいじめられないようにしたりと、今では考えられないほどのアプローチをしていた。
そしてついには将来は結婚しようねと一緒に話した仲だ……まあ今の彼女は覚えてもいないだろうが。
彼女はいつからか変った、明るくなった。
いや、あの時から自分の意見を伝える様になった。
あれはジャングルジムで2人で遊んでいた時だ、僕は彼女にいいところを見せようと一番上に登って立ったんだ、馬鹿だな俺は。
その時にたまたま強い風が吹いて足を滑らせて落ちた僕は、そのまま意識を無くした。
何だかんだで危なかった所を、彼女が急いで周りの大人を呼んでくれた事で助かったが親や医者からこっぴどく怒られて、とても辛かったのを覚えている。
事の顛末を語る上でここはまあどうでもいい。
その時から変った、相変わらず優しいし動物を見かけるとカワイイと言って走って行くのは変わらない。
少し恥ずかしい話をすると顔を赤くするし、小腹が空くと茎わかめを食べるのも変わらない、ただ自分の意見を言えるようになった。
あと服のセンスが良くなった、黒を着ることは少し増えたと思うがデザインが凝っていたし、それが彼女らしさをより引き立てたと思う。
それはいい事だ、人として成長したと思う。
おかげで友達も増えたみたいだし、以前の彼女より生き生きとしている。
まるで青春マンガのキャラクターをそのまま切り取って、書きだしたみたいだ。
でも僕にはそれは彼女じゃなく見える。
自分の嫉妬によってそう見えているだけかもしれないし、ただ僕がずっと彼女を守っていたいだけだったのかもしれない。
少しだけ日常に違和感を感じた。
でも僕の彼女への想いは変わっていない。
僕のこの想いは山より高く、海よりも深い物で産業廃棄物として処理するとしても、大きすぎて重すぎて業者も引き取らないはずだ。
美しいと可愛いとゆう言葉は彼女の為にあると思っているし、彼女が望むのであれば僕は人生を賭してそれを叶えたいと思う。
まあ、そんな言葉は素直に伝えられず、僕はめんどくさそうな口調の中に隠してしまうのだが。
つまらない大学生の自分語りはここでおしまいにしよう。
「やけに盛り上がってたよな、なんの話をしてたんだ?」
講義室の部屋を出る時に時にちらっと見たけど、女子数人でなにやら盛り上がっていた。
「こんどの長期休暇どこ行こうかって話してたのよ、去年は都心の方だったから、こんどは自然豊かな所がいいわね」
「いいなぁ、私も先輩とどこか行きたいです!」
「行きましょうか」
「やったー!」
「部長と神無も一緒にどうですか?」
荷物をソファーに置いて体をこちらに向ける。
「もちろん行くぞ、そんな楽しそうなイベントに私が行かない訳ないだろ」
「オッケーです、神無はどうする?」
「どうせやることもないし、行こうかな」
どうせ長期休暇なんてゲームしてアニメ見てのエンドレスエイトの繰り返しに決まっている。
それなら少しめんどくさくても、イベントを入れておいた方がいいだろう。
てゆうか、あいつが来る旅行とか行かない訳がないだろう。
「わーい、じゃあみんなで行けますね、
「あいつは知らん、出来れば来ないで欲しいんだが」
南坂先輩は4年生ので、一言で言えば女癖が悪い。
いつもヘラヘラしていて、余裕があり顔がいいからいつも色んな女の子を連れている。
そしてそれに巻き込まれるのが、いつも付きまとわれている才火先輩だ。
入学してからなぜかずっとつきまとわれているようで、そのまま一緒にこのサークルに入部してきたらしい。
南坂先輩を好きな子からいつもひがまれているが、本人があの性格なので今の所実害は無いようだがやっぱり面倒くさいようではある。
「私てきには南坂先輩好きですけどね」
「あいつのどこがいいんだよ」
「うーん、アイス奢ってくれたり何かやらかした時に奇声を上げる所ですね」
「伊織ちゃんってたまに、さらっと怖いこと言うよね」
「てへぺろです☆」
こつんと頭を叩いて、上目遣いで見つめながら舌をだす。
あざといな~、でもカワイイのがずるい。
「あいつが来るときはみんな分の旅費を払わせよう、で結局どこに行くんだ?」
「私てきには、SNSで有名なカフェ行ったり温泉行ったり、お祭り行ったり…あ!キャンプも行きたいです!」
「もはや旅行に行きたいじゃなくて、やりたいことリストみたいになってるじゃん」
「まあそれでもいいんじゃないか?どうせ今回の出版以外に部費を使うのは本を買うくらいだから部費がどんどん毎年溜まっててな」
「いい本を書くには、実際の取材も大切だ」
「確かにそうですね、私も今回書いたのは実体験を元にしながら書きました」
「へー、どんなの書いたんだよ」
「それは秘密」
唇に手をあて、いたずらっぽく笑う。
実体験だと昔から一緒にいる俺も関わっているのだろうか。
「文化祭をお楽しみに」
「神無はどんなの書いてるの?」
「異世界転生したら最弱スキルの俺が無双してハーレムな件について」
「実体験?」
「なわけないだろ!」
「まーた、イチャイチャしてるし」
「してないですって!」
「先輩、わたしとは遊びだったんですか?」
「お前まで乗ってくるな」
「ラブコメの波動を感じたのと、そろそろいい時間だから今日の活動は終わりだ」
「明日までに各自やりたいことや行きたい所をまとめておくように」
みんな適当に返事をしてそれぞれ帰り支度を始める。
話ながら各々開いていた本やパソコンを閉じて、上着を羽織る。
季節は秋に差し掛かり少し肌寒い日も出てきた。
先輩が鍵をかけるのをみんなで見届け、家へと帰った。
家に着いてさっそく小説の続きを書こうとPCを出そうとすると、見慣れないピンクの便箋に包まれた物が入っていた。
ついに来たか俺にも春が!
ウキウキ気分で丁寧に、止められているハートのシールを剝がす。
いやいや、オレには好きな人が、いやでもどうしてもってゆうならなー、仕方ないよね!
手紙を取り出して俺の目に飛び込んで来たのは訳の分からない脅迫文だった。
「文化祭が終わるまでに彼女を作れ。」
「でなければお前は死ぬ。」
「作れるならとっくに作ってるわ!」
俺は感情の赴くままに手紙を投げ捨てた。
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