【第6話】不登校3兄妹の母 の巻①

◆◆自己紹介◆◆


長男たこ・長女ぴこ・次女ちぃは、不安定登校・不登校の日々だ。

学校に行きたい!と言い出す兆しも、家でクリエイティブなことはじめよう!という意欲も、感じられない。今日も惰性的に3兄妹がリビングで過ごしている。


学校と言う社会からはみ出した我が子たち。

そんな子を育てた親は、一体どんなトンチキ母ちゃんだ?と思う人が居るかもしれない。


私は、ごく普通の、そこらへんにいる人間だ。


天才的な才能もなく、世捨て人でもない。人が好きで、苦手な人もいて。仕事して、子育てして、家族を思って、周りの人を思って、忙しく生きている、そんな人。



◆◆親と自分と子ども◆◆


私は我が子を見ていて思う。よく学校休めるな、と。

『不登校』なんて、自分の学童期には無かった言葉だ。『登校拒否』は、あったか。でも私は学校に通った。


それ以外の選択肢があるなんて、私世代の誰が思うだろう。考えたこともなく、当たり前に学校に行くもんだと信じて疑わなかった。


休みたい日はもちろんあった。

体温計をストーブに当てて、42度なんてありえない数字を叩き出していまい、慌てて服で覆うなどの工夫を重ね、37.8度あたりの数字で親に交渉してズル休みした。その程度だ。

1日目は楽しい。2日目は罪悪感。3日もすれば、学校行こっかな。と。


親も昭和を生きた人間だ。私はバブル期に生まれていた。

「やることやれ!締めを合わせて、それから休め!」と、父の背中から学んでいた。


親の言うことを聞いて、勉強したし、本を読め、と言われれば読んだ。

親が子を思って言ってくれることなのだから、聞いといて自分に損はないだろう、と思っていた。

就職先と結婚相手だけは自分で決めよう。それ以外は、親のいう事聞いといたらいいわ。と考えていた。


そして私は、大学を出さしてもらい、就職し、結婚した。

なんて、良い子だったのでしょう!!と自分に驚く。


自分が不登校児の親をしていて、

「我が子たちよ!!どうして親にそんなに心配をかけるのか!!」と叫びだしたくなる事は数えきれない。


私の親が、こんなに子育てに精神をすり減らしていたとは到底思えない。なぜなら私は従順だったから。



不登校どころか、グレたこともない。

制服のワイシャツは第一ボタンまで留めて、当時流行のルーズソックスは履かず、紺のハイソックスを貫いた。髪はビーチボーイズの広末ショートカット。

門限も必ず守った。お祭りの夜だって19時までには帰宅した。

土日も、基本は家族の時間を大事にしたい、と特段の理由がなければ誘いも断っていた。


つまんねぇ奴だな、と書いていて思う。しかし、私はそれで良かった。私の中の内なる世界は、その時間で醸造された。


全て親の思い通りには行かなかったこともある。私はとても運動が苦手だ。

スポーツ好きの父に「どんクサっ!!」と呆れられたことは数知れない。

しかし、あの時代だ。女の子だし、まいっか。と色々免除された。


スパルタに野球の練習を受ける弟たちを横目に、私は庭で犬と戯れていたのを思い出す。犬と会話して、草花を観察して、風を感じた子供時代。


そうです。いわゆる不思議ちゃんです。

学童期は、『不思議ちゃん』、高校時代は『白い変態』というあだながついていた。私は好意的に受け止めていたが。

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