第2回星投げポイント開始

第31話 アズキチャン

 雪が積もっている状況を完全に忘れていました。戦う場所は雪かきをした、ということで読んで下さい。街は雪が積もってもシールドが蒸発させていると思ってください。それでも不都合な場面が生じますが変更が大きすぎて変えられません。本当に申し訳ありません。

 ―――――――――――――――――


 積極破壊シールドを展開し、ソフトスキンの中にしまっていた護符を取り出す。その護符をバックパックにしまう。


「アズキチャンアズキチャンアズキチャンアズキチャンアズキチャンアズキチャンアズキチャンアズキチャンアズキチャンアズキチャンアズキチャンアズキチャンアズキチャンアズキチャンアズキチャンアズキチャンアズキチャンアズキチャンアズキチャンアズキチャンアズキチャンアズキチャンアズキチャンアズキチャン」


 来たな。


 確かに来た。ウシガエル型の巨大な変異体が。


 街の上に。シールドを押しつぶす気だ。急遽無線をつなぐ


「こっちあずき! 大丈夫ここあ!? こいつら私に向かってこない、博士直々に指揮をしてるんだと思う!」

「うるさいな、鶴岡だ。こういうこともあろうかと、魔法陣の強化をしてある。ボクのエネルギーで十分回せてる。回らなくなっても占い師さんやルカが応援に来る手はずだから大丈夫だ」

「ミカよ。そういうことだ、あずきがシールドを外した瞬間が博士の狙いだろう。あずきはそのまま待機してくれ。高角砲が街のシールドすれすれを狙って飛べるようだ」


 秒間10個くらいウシガエル型変異体が出現しているんだけど、全くびくともしない街のシールド。強化度合いが凄い。


 そのうちに高角砲の射撃が始まった。銃の延長線上である機関砲ではなく砲の一種の高角砲なので、砲弾が飛び出してバン!と炸裂し破片と爆風を周囲に散らす代物だ。


 ぐっちゃぐちゃや。ウシガエルが吹き飛びはじけ飛び、ぐっちゃぐちゃになってシールドを伝い周辺の壁へと流れていく。凄い火力だ。幸い周囲の壁にブルドーザーで溝を掘ってあるので、あとの処理は面倒だが血がぐっちゃぐっちゃに飛び散ると言うこともあまりない。


 1分もたたないうちにウシガエル型変異体は全て排除され、シールドを伝って壁の外に落ちた。回収して魔のコアになってもらおう。


「次はどんな手で来るかな?」



 巨岩を落としてきた。少し削られているからこれ置換技術に使っている岩だな。価値が高い。

 しかしこれも難なく高射砲の一斉射撃で崩壊する。さすがに落ちてきてシールドに乗った瞬間「ぐっ」てここあちゃんが呻いたけど。悪いな、うちのここあちゃんは最強なんだ。呻くだけで終わりだ。


「コマンダー、あの岩置換技術に使ってると思うんで価値が高いです。あっちのリーダーに集めておくように伝えてください。武器と弾薬が作れそう」

「わかった。ああ、今回は寸胴型とあずきの2人がかりで10式ライフル銃の弾を作って貰っただろ、あれでダブルガトリングガンが使えるからいい射撃が出来そうだ。ありがとうな」

「いえいえ。今回は6輪フィーの活躍が見られそうですね。30ミリ機関砲の弾薬も作ってあるので主力砲以外の攻撃も出来ますね」

「よくフィーの上に載せたよなあ……」


 おかーさん何でもありだからなあ……フィーの背中はいかようにも大きくなるとはいえねえ。


 伏せたフィーの横に6輪の車輪が出現したので安定性が増して普通のフィーで運用するより反動が少ない。ゆうてフィーが生体なので射撃部分も生体になり、強烈な命中精度は期待できないんですが。履帯――戦車のキュラキュラするあれ――ならもうちょっと安定するかな?

 きっとおかーさん気が向いたら35ミリチェーンガンで履帯の歩兵戦闘車とかに改造するんだろうなあ。フィーかわいそうじゃん。使えるけど。


 岩が3個ほど同時に落下しても今度は事前に出力を高めたここあちゃんのおかげで無傷どころかボヨーンと跳ね返り街の外へ。置換技術の素材ありがとうございまーす。


「なぁぁぁんだよぉぉぉ! 街固すぎるじゃねえか! もういい! アーズキチャーン、おいたんとあそぼうねえ」


 目標を街から私に変えたらしい。多分岩とかの在庫も切れたんだと思う。私を攻めるための分を除いて。


「ほーら、ペットだぞぉ。ベロンベロン舐められてきなぁ。いっぱいお味噌汁出しても良いんだよぉ」


 はー気持ち悪い。


 それで出現したのがとんでもなくでかいウシガエルの博士。


「あずきちゃん、千載あずきちゃん。僕との子供産もうよ。ほら、おいで」

「君が来な。ここまで来られたら抱きしめてあげるよ」


「おおおおおおいたんが抱きしめられてほしいんだな! 行け! 雑魚ども!」


 例のごとく大量の一般雑魚型変異体を出してくる博士。削りたいんだろうな。

 大量に突入してきて、出力と範囲が向上している積極破壊型バリアによって死んでいく変異体。

 無情。ああ無情。ゴブリンですら知能があるのに。こいつら無いもんな。


「コマンダー、あのデカ物の相手を討伐隊にお願いしても良いですか? 負けないだろうけど、さすがにエネルギー持って行かれます」

「わかった。ここの討伐隊はすげえぞ。見ものだ。すげえ街だよ腐ゆっきーは」


 がさがさ、がさがさ、と草が揺れる音がする。

 デカ物が私の側まで近付いてくる。なんで私を狙った場合軒並みぽこちんフル勃起なんだろう、気持ち悪いなあ。


「あーずーきーちゃーん」


 私の目の前までデカ物がやってくる。その時であった。


「パフォーパフォーパフォー」

「いけええええええええええええええええ!!」

「うおおおおおおおおおおおおおお!!」


 筋肉の鎧にパンツだけの人や、フルプレートを被ったもの、サムライもどきが一斉に駆けだしたのだ。その後ろからはフルオートライフルの音がする。


「うおりゃあああああああああ!!」


 前線の兵士達は左後ろ足に狙いを定め、ぐっさぐっさ斬って突いていく。高度な剣技も凄い勢いで使っている。ペットは再生するのだが、お構いなく攻撃を続けている。

 後方の戦士達はフルオートライフルを持って連射しているようだ。左目を狙っているかな。周辺の国や地域ではまだセミオートライフルですら珍しいというのに。やっぱ作家先生経由でも銀河と繋がってるって凄いね。


「うっし、視点よし、足場よし! 30ミリ機関砲とダブルマシンガンの掃射いくぞ!」


 ミカさんのWAZAである掃射が始まった。周囲の味方を巻き込んで連射力と貫通力を増加させ、狙いのブレを減少させるWAZAだ。まあ今回はフィーしかいないけど。30ミリ機関砲の連射力と命中率があがるのは素晴らしい。

 少し後ろ右目を狙ったようだ。30ミリ機関砲があるから直接狙わなくても目に当たるって感じかな。


「ぼ、ボッコボコにされている……」


 やつらは連携とか全く考えないので一般雑魚変異体は私に突撃して死んでいくだけだし、ペット君は再生が間に合わず左後ろ足と顔の前部が消滅しかけている。ウシガエルだから後ろ足が無いと飛べないんだよな。


「ペットももう再生できないみたいだねえ。どうすんの博士君」

「じゃあこれならどうだぁ!」


 そうやって召喚したのは。



 20メートルを超す巨人だった。



「切り札だ! どうやって倒す? アズキチャンは不老不死だから塵屑から回収しようねえ」


 え?


「コマンダー、こいつ本物の博士かな」

「違うのか? ウチたちにはわからないけど」

「いや、私は完全な不死ではないんだけど。塵屑になったら死ぬよ」

「間違えただけじゃないのか?」

「極めて深くヌルヌルと私を愛する博士が間違えるわけないじゃん。多分トイレに行った回数さえ、いや、ご飯の時今までに噛んだ総数さえ覚えているよ」


 ちょっと質問してみよう。


「ぽこちん短い丸! 私が拷問にかけられていた時間はどれくらいだ! 詳細に答えろ!」

「うるせーなおいたんはおっきいおっきいだ! 拷問にかけられていた時間は1万年だろ!」

「やはり偽物かお前。いや、ここら辺のリーダーくらいか。実際はそれより長い」

「そんなわけない! おいたんが本物だ! こうなりゃとっておきだ! もう座標はわかってるんだからな! それ!」


 空から何かが落ちてくる。念のため頭を低く下げたら。


 グサリと首の第1関節に何かが刺さった。


「ぐっ……」

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