第28話 たからのやまじゃー!!

「んーなんて言えば良いのかな。AX-001より出撃場へ。ここにいるもの――フィー、ここあ、所長、フィーの亜空間内部――へ通行認証を与えてくれる?」

「かしこまりました。シールド内部へどうぞ」


おお、上手くいきそうだ。


まずはフィーのふさふさの毛をシールドに接触させる。お、反応しない。一人一人そっと入場させる。

全員が中に入れた。


「よっし。博士の遺伝子を持った生物や物体は中に入れないでね」

「かしこまりました」


私の左手を紋章に合わせて鍵を開ける。ゆっくりと開く扉。中にはどんなのが待ち受けているのだろうか。


「良かった、当時のままね」「上に張り付いてるかもしれないから気をつけろ」「そんなに大きい設備じゃないわ。アンチ博士空間にもなってるし」「念には念だ」「はーい。じゃあおかーさんはフィーの下ジッパーに戻るわね」


フィーに転送してもらい、脚だけ出るおかーさん。ええええ。もごもごしたあと顔だけ出た。おかーさんそういう所しょっちゅうあるよね。しょっちゅう。


「フィーの内部に身体が入ってると血が頭に上らないのよねー。フィーちゃん便利」

「ばうばう」


らしい。へー。私には頭部にサブ心臓があるから頭に血が上るってことがないんだよね。


それでは探索していきますか。入ってすぐの所に居間がありましたね。何に使ってたんだろう。何も置いてない。

そこを抜けると広い発射場みたいな物が。これは空母のカタパルトみたいなもんかな。ここの中心部と言ったところですかねー。


「まだ使えるのかな」

「完備してお待ちしておりました」

「帰りはこれ使おうか。フィーを射出して飛ばそう」

「ばう! ばう!」

「なんて言ったんだ?」

「頑張る! だって」

「よくわかるよな。ボクもフィーと会話できるようになろうかな。学習すればなんとかなる。お前との最初の出会いの時見たく、なんどか話せば通訳できるようになるからな」


でも既に何度も声を聞いているので意味がないと思うなあ。


「向かって左側に収納室、右手にキッチンやお手洗い、それにお風呂があったはずよ」

「物発見ですね。収納室探してきまーす」

「ボクも付いてく。フィーはキッチンの方探して。無限コンロとか全身洗濯機とかあるかもしれない。ここのは全部あずきの物だからダブった物は恩呼知真おんこちしんに売りつけよう」

「お、それ良いアイデア!」

「あずきバカだからそういうこと考えないと思ってな」

「てめえやんのか」

「やってやんよおバカ」


いきなり始まる乱闘戦。しかし今までの私とは違うのだよ。


「ステップイン、ステップイン。シュッシュッ、シュシュッ」

「くっそ、練習積んだな。ならこっちもボクシングだ!」


ぼこすかぼこすか。どんちゃんどんちゃんどんちゃん。

ばーかばーかあーほあーほ。


「今までとまるで変わってないわ……」


「ここでナイフ術! ぬはははははここあも落ちたものだな!」

「武器使うなんてひきょう。ならこっちも」

「うおっぷ、ビームガンか! しかし恐れずに身体を密着させて後ろ手にさせれば! ぬはははははここあも落ちたものだな!」

「くそう。次は遠距離から乱射してやる。皮下装甲で頭撃っても大丈夫なのは実験済みだからな」


「あなたたち、ここを破壊する気!? ふざけんじゃないわよ!!」


おかーさんがガチギレしたので二人揃って90度お辞儀の謝罪。すみませんでしたー!


「左側の部屋だけど、1つ目は空気がよどんでいて、壊れている感じがするね」

「2つ目のこっちはこっちは結構良い物残ってるよー。これバックパックの新型だよね」

「あら懐かしい。バックパック2ね。トンボ型の羽が生えて空を飛べるのよ。容量は無限じゃないけど十分入ると思うわ。白地に縁が深紺色なのが海兵隊を連想させてかっこいいわね (´◉◞౪◟◉) 」

「じゃあ今のバックパックから荷物移したら旧式はここあちゃんにあげよう。無限にグレネード持てるの便利だぞー」

「背中の噴出口が塞がれちゃうな」

「大丈夫、バックパックと言っても亜空間を持ち運ぶだけの代物だから。おかーさんが連動型スラスター付けてあげるわ (´◉◞౪◟◉) 」


嬉しそうにはにかみながらありがとう、所長、というここあちゃん。かわいいいいいい!! ここあちゃんはぁはぁ。


「おまえ、よだれ垂らしながらなぜボクを見ている」

「なんでもない、なんでもないから」


あかんあかん、これじゃ博士とおんなじだ。


ここあちゃんにちゃんとセンサー使って探しているかーと言われたので、たしかし! とセンサーを付けて探索する。

するとこの木の箱の中から何か小さい物体が入ってるとの情報が。なんだろう。

ナイフで破壊すると、紫のインプラントでしたー!!


「やったー! 紫のインプラントだ!」

「そっちはそうか。こっちは黄色のインプラントだ。たしか……機能追加だな」


「そういえばその2つの部屋はインプラントが自動生成するようにわざと空気のよどみを作っていたかもしれないわ。生成されたのはそんなに大量じゃないけど戦争が長く続いたからねえ (΄・◞౪◟・) 」


よっし、じゃあフィーの手術室、はなんもないんだっけ。ここでピンクちゃんに取り付けてもらうか。


「はぁい! ピンクちゃんだよぉぉぉぉ!! 久しぶりに乗っ取られなくなって嬉しいよぉぉぉぉぉ!! ٩(ˊᗜˋ*)و 」

「んじゃ今回は二つよろしく。ピンクちゃんがいないと取り付けできないから大変だよー」


そういえばここに手術室あるのかな?


「所長、ここに手術室ってあるの?」

「あったと思うわねえ。ただメンテされてないと思うわ (*´﹃`*) 」

「メンテすれば直る?GPS装置取れる?」

「メンテすれば直ると思うわ。でもここのは直すだけねー出撃して帰ってくるところだったから。取り除けるような設備は後方整備するところにあると思うわ ₍₍ ◝(•̀ㅂ•́)◟ ⁾⁾₍₍ ◝(•̀ㅂ•́)◟ ⁾⁾ 」



一番近いのってどこだろう。


「一番近いのはどこにあるの?」

「数千キロ先。しかも駄目になってるわ。博士が隕石落としたからね。次が1万キロ先だと思うけどさすがに場所を覚えてないわね」


そっか。旅を続けないといけないわけね。

まずはインプラントか。ピンクちゃーん。


「また身体奪われた 。゚(゚´ω‘゚)゚。 もうやだー 。゚(゚´ω‘゚)゚。 」

「まあまあ、それじゃおねがいするねー」

「まっかせてー! (΄◉◞౪◟◉`)(΄◉◞౪◟◉`) 2ついっぺんに取り付けてあげる (΄・◞౪◟・)΄◉◞౪◟◉) 」


うつ伏せになって、プシューと麻酔ガスがマスクに充満されてぽっくり。




起きた。


「あ、今回は普通の時間に目覚めたー! よかったー! (΄◉◞౪◟◉`)(΄◉◞౪◟◉`) 」

「うん、悪い夢も見なかった。2000ゼニかけたかいがあるよ。さて手術ログはっと」




――――――――――

手術ログ


・・機能追加・大型総合工具「翠乃沃土みどりのよくど


 ・・世代更新

・脳全体の再設計

・脳に挿せるインプラント数の増加>32bit数へ

・恒常性機能の再設計

・エーテル生産技術の再設計

・レーダー及びセンサー機能の再設計

・反射行動および行動移行の高速化

・1細胞が出すエネルギーの上昇

・生体脳、機械脳の通信高速化

・無線機能の再設計


以上

――――――――――


翠乃沃土は知ってるぞ。覚えてる。マルチツールの一種。普通はマルチツールって小さいけど、これは大きいまま出現してくれるんだ。そして変身してくれるツールは機械化してない奴限定だけどかなり多岐にわたる。自我もあるんだよね。


「これからよろしくね、みどりちゃん」

出現させて挨拶をする。ぷるぷる震えるスライムみたいな翠乃沃土。瞬間的にレンチになってぶん殴るとかも出来るようになるね。普通サイズのノコギリもゲットだぜ!

「ばう! ばう!」

「なに、妬いてるのフィー? ボクの仕事が無くなっちゃうって」

「ばうーばうばう」

「仕事の箇所が違うから大丈夫でしょ。さーてセンサーとレーダーが再設計されたから探し直しますか。フィーは何を見つけたの?」


大型全身洗濯機。移動できるお風呂とシャワー。無限の水道。無限電源数個。


褒めまくった。フィーが寝ちゃうまで褒めまくった。

そっか、ここは汚れた私が帰ってくる場所だから、洗濯系が豊富だったのか。


止めに、おか、所長の手が発見された。


「おかーさんこれで繊細な作業をピンクちゃんの手じゃなくておかーさんの手で行うことが出来るわ。やったーやったー (΄◉◞౪◟◉`)(΄◉◞౪◟◉`) 」


もうちょっと調べてみるけど、ここはかなり収穫があった場所だったー!

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