箱詰めされた秘密たち。

 箱庭、箱入り娘などなど、これでもかという程箱に埋め尽くされた本作は、状況的にも箱に埋め尽くされている。しかも、秘密がぎっしり詰まっていた。
 主人公の男は、転勤族だった。妻も子供もいる良き夫で良き父親。そんな彼には開けないままの段ボール箱があった。引っ越しの度に大量の段ボール箱で満たされる家ならではの、秘密の隠し場所だ。木を隠すなら森の中の理屈で、主人公は妻には内緒の楽しみを隠し続けている。さて、その秘密とは?
 さらにこの家族には夫の秘密以外にも秘密があり——?

 箱が作中に何個隠されているのか数えてみるのも、楽しそうな作品でした。

 是非、御一読下さい。