第33話1000年後




巨大スクリーンに1000年へのカウントダウンが始まった。


見てる者には、緊張が走る。


「ミーアギルド総長、魔族がいよいよ来たようです」


カウントダウン1分を残していた。


「ちょっとしたズレね・・・必ず異世界座標を特定するのよ。さもないと母に申し訳ないから」


「レジェンド山田が亡くなり、悲しみで死んだミーシャ様ですか・・・記録動画でよく見かけました。わたしも隠れファンです」


「そうなの」


ミーアギルド総長の返事は、素っ気無かった。



「ただいまベータ反応を探知しました。シグマ波特定に時間を要します」


「分かったわ」


ミーアは、赤い結晶に手をかざす。

この結晶は、ミーシャが死んだ時に残った結晶だった。

そしてエルフ語を念じる。


『異世界座標特定まで10秒、9、8、7、6、5、4、3、2、1、特定完了』


「防衛隊に殲滅作戦を通達するのよ!」


「了解しました」



「あ!!魔族とモンスターがダンジョンから出てきました!」


「空に飛び立たないように、結界士に結界を張るように・・・」


「すでに勝手に張ってるようです」


「なんで勝手な事を・・・・・・」



「予測していた通りに、日本のダンジョンのみが魔族やモンスターであふれ返ってます」


「数は!」


「およそ魔族20万、モンスター140万」


モニターでは、戦いが始まっていた。


ダンジョンの上に建てられたビルは、壊されて瓦礫となっていた。

その瓦礫から手が飛び出す。

かき分けて出たのが巨大オークだ。


「ブヒーー!!」と雄叫びを発した。


しかし、目に見えない攻撃でバラバラに吹飛んでいた。

それでもモンスターは、次々に這い出してくる。


そんな光景がスクリーンが変わるたびに、指揮室ではざわめきが起きていた。


「B案を実行するのよ!」


「B案、実行します」


2キロ離れた場所から魔法攻撃が開始された。

無数の魔法攻撃が魔族やモンスターに降り注ぐ、そして有利だった数を減らしつつあった。



「魔王が逃げたわ。わたしの出番ね」


「え!行くのですか・・・・・・」


「はじめから決まった作戦よ。それに変わる案でもあった」


「いえ、ありません」



ミーアギルド総長が居たであろう場所には、ギルド総長は居なかった。






転移した魔王も傷だらけであった。


その魔王の上空に気配がして見上げる。


「お前は、誰だ!」


「わたしは、ミーアよ。あなたを殺す者よ」


「何を生意気に」


魔王は、一気に巨大火の玉を出現させて放つ。


しかし、攻撃魔法防御の結界に吸収。


「今のは、なんだ!」


「あたなが知らない魔法よ。ここにも人間が居るようだけど、向こうの人間は違うのよ」


「人間は、狩られる者だ。何が違うと言うのだ」


「向こうの人間は、狩られる存在でなく狩る側の存在になったのも分からないの・・・情けない魔王ね」




ミーアの周りには、無数の魔法陣が展開。

そして1万もの光魔法が連続的に放たれた。


この光魔法は、魔族を殺すために800年も要した。

魔族が知りようもない魔法だった。


「何故だ!・・・何故に、こんなに連続で放てるのだ」


「魔王なのに分からないようね・・・魔王である、あなたが努力しなかった。それがあなたの敗因よ」


それでも魔王は、なんとか8千までの光攻撃に耐えた。

しかし、魔王の魔力に限界が訪れる。


「そんなバカな」


それが魔王が残した最後の言葉だった。



「わたしの御爺様や御祖母様に会いに行こうかしら・・・」


ミーアは、転移を発動して消えた。





人類は、ダンジョンが消えたが新たなフロンテアを手に入れた。


友好的な魔族とは、手を組んだ。


逆らう魔族は、戦うしかない。


エルフとも友好条約が結ばれるのも早かった。


それに、宇宙にも挑んだ。

今までは、月や火星まで飛んで資源を掘りまくった。


それが、魔法を使ったワーク航法が発明されたのだ。

まだ見ぬ宇宙人に・・・・・・


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