第32話それは突然だった




もう・・・何日経ってるのだろう。

今が午前か午後も分からない。


腕時計もデジタルで数字表示もまったくない。

これって!持ってても意味がない。

腕から外して、そのまま捨てた。



眠くなったら安全エイアで寝る日々だ。

腹が減ったらオークを探し求める。


オーク以外のモンスターは。食えた物でない。

ゴブリンの肉なんか噛んだら臭いにおいが・・・そんなの食えるか。



ここでもゴブリンが大勢出てきて戦った。


前衛60人

弓22人

魔法使い11人

アリ

巨大オーク

大コウモリ



ゴブリンカードをめちゃゲットしたよ。


ゴブ、リン、ユミ、リーゴが各班のリーダーだ。


大コウモリは、超音波攻撃が出来ることも分かったぜ。

相手をクラクラさせて脳にも損傷を起こさせる。

目に見えない攻撃で激ヤバイ攻撃だよ。


今までのコウモリは、瞬殺だ。

超音波攻撃なんか受けた事も無い。




それに進化もして、この階層では無敵だ。

俺は、後方で見てるだけだ。


それに植物を成長させると果実も取れるって分かった。

甘い果実で水分補給にもってこいだよ。

血を吸うなんて真っ平御免だ。


そして、階段は見つかってない。

何処を探してもない。





そんな戦いの日々に、それは突然だった。


通路に少女が倒れていた。

綺麗な少女で耳が尖っていて、髪は金髪だ。

肌は透き通っていて綺麗な白い肌だ。

これってエルフ。


「お前が倒したのか!」


「ギャー」


「ギャー」


「ブー」


「ギャー」


「ギャー」


「ブー」


なんか倒してないって言ってる。


だったら、なんで倒れているんだ。

あ!目を開けたぞ。


「バイレ、シルナヤマヤ」


「え!何を言ってんだ」


「バイレ、シルナヤマヤ、テト・ ・ ・」


「全然分かんないよ」


え!急に俺の顔を掴んでキスを・・・・・・


なんてやわらかい手で、やわらかい唇だ。


「わたしの名は、ミーシャ。異世界から来ました」


「え!会話ができるの」


「キスで契約を結んだので」


ああ、そんな意味があったんだ。


「ここに居るモンスターは・・・」


「ああ、心配しなくて良いよ。俺の仲間だ」


「仲間・・・」


「俺の命令は絶対だから襲ってくることは無いよ」


「分かりました。哀しい知らせがあります。魔王が1年後にここへ攻めてきます。どうか魔王を倒してください」


「それは無理だ。俺は、ここに閉じ込められて、どうしようもない」


「え!あなたは、この世界の国王ですよね」


「嫌々、違うよ。この世界では、国王みたいな人は沢山居るんだ。俺が住んでいたのは、日本だ。アメチカやイギリスなどがあって、196の国があるらしよ」


「そんなにあるのですか・・・誰に話せば」


ミーシャの話をよく聞いてみた。

ミーシャは、この世界で1番強い存在へ空間転移したらしい。

俺が強いって意味らしい。


「ここから出るのが先決かな・・・」


「それなら簡単です。わたしにつかまってください」


「ちょっと待ってくれ。こっちにも準備があるから」


モンスター達を解除してカードに戻す。

無限バッグにカードを入れて準備完了だ。


安全エリアの干した肉は、もういらない。


そして決心がついた。

俺は、ミーシャの手を握った。


地上1階に俺は立っていた。


あれ!今の魔法って俺も使えそうだぞ。

ミーシャの顔を見る。

ミーシャは、何故か驚いた顔だ。


「お帰りなさい。山田巧やまだたくみさま」


ドアのAIが反応。


頭の髪はナイフで切ってるが不揃いだ。

髭もボウボウと生えていた。

そんな俺なのにAIは、分かるんだ。

ドアが開いた。


ミーシャを連れてドアの外へ出る。

俺は、泣いてた。

鼻水タラタラだよ。



なになに、なんで銃を構えた自衛隊が居るんだ。


「あなたは誰ですか!!」


あ、三山さんだ。


「俺ですよ。山田巧ですよ。忘れてしまいましたか三山さん」


「全員!銃をおろせ」



どうも臭かったようでシャワーで頭を洗って、体も洗った。

もう風呂なんか夢の心地だ。


風呂から出たら新しい服もあった。

自衛隊数人が監視中だ。


そして無限バッグを担いで会議室に案内された。

俺を見たミーシャは、抱きついて来た。


ミーシャの言葉は、俺しか通じない。

1人でガミガミ質問攻めにあったらしい。


魔王襲撃の話に驚いていた。


「国連で話すベキだ」


「もっと情報を引き出せ」


ああ、もっともな意見だ。


ミーシャと会話してて違和感を感じた。


「ミーシャ、スタートと言ったら1分経ったら手を上げてくれ」


「わかったわ」


「スタート」


刻々と時間が経過、1分でミーシャが手を上げたよ。


ならば1時間はどうだ。


あ、またも1時間で手をあげたよ。


その間にも色々聞いてたのに・・・


そして、答えがでた。


1年の時間軸が違ってた。

1年をこっちの世界にすると1000年だった。

マジで本当の話だ。


エルフは、長寿でミーシャは1万年以上も生きていた。

エルフの1年の単位が全然違ってた。


それは魔族の魔王も同じだった。


もう、その場に居た全員が安堵だ。



誰もが1000年もあれば簡単に撃退出来るって・・・思ったに違いない。


ミーシャの話だと異世界の1年って変化も無く、変わらない日々だったらしい。

魔法も新しい魔法なんかもない。


それなのにミーシャの教える魔法を自衛隊も習得。

数十人が習得済みだ。


それからが大変だった。

国連で発表されて、続々と日本にミーシャの教えを受ける人々。


ダンジョンの攻略も進むのも早い。


こっちから異世界に行くことは、不可能だった。

エルフが協力してミーシャを送り出した。

魔王が新たな力を手に入れることを恐れての行動だった。


魔王とエルフの力関係は、同じで本気に戦えば共倒れの恐れがあった。



それでも新たな魔法が日本でも生まれた。


それは、チャームだ。

人を魅惑する魔法だ。

もてない男が開発したらしい。

必要は発明の母と誰かが言ったが、まさかな話だ。



資源が豊富なダンジョンは、人間にとってフロンティアでもあった。

世界各国は、1000年を見据えて発展するかも・・・・・・


それに俺に教えを願って弟子入りする者まで現れた。

1年を経過したらカードグランドマスターと呼ばれるようになった。


そして、ミーシャの間にも子供ができた。

半年で80センチになってた。


エルフは、大人になると成長は止まって若いまま続くらしい。


ミーシャは、世界各国の言語が話せるようになって、世界のアイドルになってる。

歌声が天使の歌なんだよ。


魔王との戦いは、遠い世代に任せよう。

1000年も長生き出来ないからね。


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