第十三部 三対八

赤月あかつき軍の忍者が三人現れた。

今は三対二。なんとか勝てそうだ。

(待って?!全然勝てる自信がない!!)

風花ふうかは敵を見て、固まってしまった。

「どうする?正悟しょうご。…女もいるよ?」

「何を言っている。女を傷みつけるのはいやだが、将軍のご命令だ。従うしかあるまい」

「せうだなぁ。正悟の言う通りだ。本気で戦ってやる!」

「その意気だ。諭吉ゆきち

この三人は赤月軍の忍者の中でも、凄腕の忍者だ。ごく稀に、兵として戦場に立つことある。

(赤月将軍が一番信頼している忍者ってことは、絶対強いわよね…?)

赤月将軍は弱い者をそばに置くとは思えない。

この三人は、とてつもなく強いのではないだろうか。

「なぁ、陸都りくと。…てめぇ、なんで裏切りやがった…。将軍に殺されたいのか?!どうなんだ!答えろ!!」

諭吉と思われる人物は、陸都に苦無くないを向けた。

いつ殺されるかわからない状況なのに、陸都はとても冷静だ。

「…それは、また話す。とりあえず、通せ。こんなところで死ぬわけにはいかない」

「当然だろうなぁ。将軍に見捨てられたもんなぁ〜。それなりの忠誠心を見せないと、拾ってもらえないぞ?そうだ。将軍は、その女を差し出せば、お前のことを赦す、と仰っておられた。もし差し出せば、その女の命はないだろうなぁ」

風花はそれを聞き、逃げようとしたが、陸都を置いていけないので、元いた場所に戻った。仲間を置いていくなど、高本たかもと将軍の者ではない。

「その女、察しがいいなぁ。逃げようとしたぞぉ〜?」

「だまれ。諭吉」

「へぇ。面白いのやってるね」

向こうから、五人ほどやってきた。

青色の髪紐かみひも。ということは、青川あおわか将軍の忍者だ。

みな黒い服では区別がつかないので、それぞれの色を決め、決めた色の髪紐をつけることになっている。

風花たちの髪紐は紫で、赤月将軍の忍者の髪紐は赤だ。

「おい、逃げるぞ」

水色の髪紐を着けている者が、風花にこっそり声をかける。

水色は、ひいらぎ将軍の色だ。

「とりあえず来い!」

柊軍の者は焙烙火矢ほうろくひやに火をつけた。

柊軍の者は、陸都と風花をひっぱる。

「ちょっ!」

陸都が少し抵抗したが、風花はおとなしく捕まっている。

「この嬢ちゃんの方が、状況を把握できているな!ー撤収だ!!」

風花と陸都は、その者に担がれる。

(うわぁ…。恥ずかしい…)

と思いながらも、その者を頼った。



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将軍の影 りな @sunire

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