第十一部 警告

「…みなとがやったのか?」

仲間に疑われることは悲しいことだ。

けれど、疑われてもおかしくない行動をしたかもしれない。

(将軍さえ無事ならそれでいい…)

湊は本気でそう思っている。

「湊。感謝する。此度こたびの礼は必ずしよう」

「いいえ。礼など入りません。将軍が無事なら、それでいいです」

湊がそう言うと、将軍は湊の頭を撫でた。

「私には、よい部下がいるな。赤月あかつき将軍と違って…」

高本たかもと将軍と、赤月将軍の違いは「部下」にある。

赤月将軍はひとりで戦っているといっても過言ではない。だが、高本将軍はみなと戦っている。

それが大きな違いかもしれない。

(この方はすごい方だ。もしかしたら、天下を取るかもしれない)

高本将軍以外の将軍に仕えていると、このことがよくわかる。高本将軍がどれだけ素晴らしく、優しい方か、本当にわかるのだ。

恐ろしいほど。

「ふたりは、まだここで侵入捜査に励んでほしい。もう無理だ、と思ったらいつでも帰ってきなさい」

『はい…!将軍…!』

湊と市左衛門いちざえもんは同時に言った。




その頃、風花ふうかたちは任務に向かっていた。

陸都りくとさん、一緒に組んでくれてありがとう」

「そう言ってもらえて嬉しいよ。風花ちゃんと一緒にいると、とても楽しいんだ」

任務に行く前、今回の任務は危険だから二人一組か、三人1組で組むよう、指揮官役のわたるから言われた。

誰と組もうか迷っていると、陸都が声をかけてくれて、一緒に組むことになったのだ。

「風花ちゃん、ここからどうする?」

陸都は風花のことを、「風花ちゃん」と呼んでくる。いやではないが、不思議な感覚になる。

(まぁでも、いい人だから…)

ただひとつだけ、気になったことがある。

それは、陸都が赤月将軍の城に詳しすぎることだ。

(考えすぎかな…?)

考えすぎだと思いたい。

赤月将軍の城に詳しすぎる理由は、もしかすると間諜という可能性がある。そうだとすると、風花たちはすべて、陸都に情報を言ってしまったことになる。

(それしか考えられないけど…。他のみんなは、もう気づいているのかしら)

風花は陸都をじっとみた。

「ん?何か思いついた?」

「えっ?!えっと…。こういうのはどうでしょう!」

風花は三秒で作戦を立てた。

(ちょっと、無理かもしれない。三秒は…)

「いいね。天才だよ、君。こんな短時間で作戦を立てれるなんて」

あっさりと通ってしまい、自分でも驚く。

「あ、ありがとう…ございま…陸都さん!」

「何?どうし…」

陸都のうしろに、弓矢が飛んできた。


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