第四部 成すべきこと

将軍がいらした。

(俺はなぜ、ここに来たのだろう)

逃げたいからか?それとも…。

考えても時間の無駄だ。時間の無駄だけは避けたい。

(まあいい。来たからには、成すべきことをしようじゃないか)

人殺しでも、なんだってする。

それが、陸都りくとに残された唯一の道だ。

「集まってくれて感謝する。それでは、そなたたちに最初の任務を与える」

このときを待っていた。

両親を殺した者の復讐さえできればいい。

この世を去ったって構わない。

復讐のために、ここに来たのだから。

誰が何を言おうとやってやる。

復讐を果たすまでは決して死なない。

いろいろと考えているうちに、任務が課せられている。

「赤月軍の忍者は、みな優秀でずる賢い。

決して油断してはならぬ」

知っている。それくらい。

陸都は赤月軍の者に殺されかけたのだ。

(そして、赤月軍の者が決して容赦しないことも…)

よわい五つの者にも容赦しない。

「わかったな?」

陸都だけは返事をしなかった。

知っていたからだ。それは理屈にすぎない。

赤月軍のことに関しては、何も考えたくない。

四半刻後(現在の30分後)。

忍者たちは庭に集まっていた。

「今日から君たちの指揮官役を務める、巫 かんなぎ わたるだ。よろしく」

いい人そうで安堵する。

ここにいる人はみな、いい人みたいだが。

(油断は禁物だな)

警戒するに越したことはない。

「初めまして」

「渉さん、よろしく」

みなが挨拶をする。不自然に思われないよう、陸都も挨拶をした。

「初めまして。よろしく」

渉は微かに笑った。

この者も何かあったのだろか。

当然だろう。ここにいる者の大半は、赤月軍の餌食にされた者たちだから。

「さて、作戦を練ろう」

みなが作戦を練っている間、陸都はめんどくさそうに天井を見つめていた。

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