第三部 仲間

ー子の刻ー

風花ふうかは言われた通りの時刻に、城に来た。

「よっこらせ…」

「ふう…」

正面から入ることができないので、塀を登っている。幼い頃から塀を登っていたのでお安い御用だ。

ここに勤めることになったのを家族に伝えると、あっさり承諾してくれた。

(以外とうまくいったなぁ…)

弟は泣き叫んでいたが。

「失礼しまぁ〜す」

こんなゆるゆる警護で大丈夫か?と心配にぬる。

侵入者を許してしまうのでは、と思うが風花が考えることではない。

「あ!君、君!こっちにおいで!」

男性だろうか。顔も隠れていて分からないが、風花が着ている服と同じ服なので、おそらく味方だろう。

「は、はい!」

「君も、集められた人?」

やはり、仲間だ。

「はい!清水 風花と言います。…あなたは」

「ん?僕?神楽 陸都かぐら りくとって言うんだ!よろしく!」

とても明るい人だ。

「こちらこそ、よろしくお願いします」

さあ、行こうか、と陸都は風花の手をひっぱる。

風花と陸都が集まった先は、風花と同じ服を着ていた人が六人ほど集められていた。

「陸都さん、あの人は?」

女の人がふたりいる。

「ああ…。あの人は、西垣 麗良にしがき れいらさん」

少し近寄りがたい感じの人だ。

「あ、あの…西垣さん…」

「なんですか?」

雰囲気とはまったく違い、穏やかな人だ。

「あなたも、集められたの?」

「はい。よろしくお願いします」

「敬語はなしでいいわよ。仲間だし」

この人とは仲良くできそうな気がする。

「う、うん!分かった」

「あなたの名前は?」

緊張して、自分の名前を名乗るのを忘れていた。

「遅くなってごめんなさい。私は清水 風花。よろしくね」

風花の住む村は有名で、大半の人は知っている。

副原ふくはら村の村長の娘さん?」

「うん」

「そうなのね。あ、将軍がいらしたわ」

将軍が来たと同時に、他の者も一斉に跪いた。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る