第二部 城

(ここが…城…)

壮大な大きさに圧倒された。

だが、圧倒されてはいらない。ここで働くかもしれないから。

「止まれ!」

当然だが、城の門番に止められる。

「何者だ、貴様!!」

ほこを向けられた。

「え、えっと…。看板に…忍者募集中と…」

風花ふうかが説明したら、門番たちは突然態度を変える。

「し、失礼いたしました!どうぞ、中へ」

ひとりの門番に案内され、城の中に入る。

「こちらに、将軍がいらっしゃいます」

ありがとうございます、と礼を言い、恐る恐る将軍がいるという部屋に入る。

「失礼いたします」

「何者だ」

言うと思っていた。まさか、部屋に来るとは思っていなかったのだろう。

「清水 風花と申します」

「あの清水家か…。何用だ」

風花の実家は有名だ。将軍に知られているとは思っていなかったので驚いた。

驚くことばかりが起きている。

「わたくしを、あなたさまの忍者にしてください」

将軍は風花をじっと見つめ、確認した。

「そなた、間諜ではなかろうな」

「間諜ではございません」

「女だが、武術は使えるのか?」

「ご心配には及びませぬ。武術は幼いころから教えられておりますゆえ」

さまざまな質問をされた。

「…分かった。そなたを、私の忍者にする」

「ありがとうございます!」

服をぽんっ、と置かれる。

「明後日、みなが寝静まる子の刻(現在の十二時)に来い。忘れるでない。…来るときは、これを着なさい」

「はい!将軍!」

忘れないように紙をもらい、書き留めた。

「書けたか?」

「はい、書けました」

「それでは帰りなさい」

将軍は風花を一時的に返した。

家族に連絡をしなさい、ということだろう。

「それでは、明後日の子の刻に参ります」

「ああ、待っている」

噂通り、優しい方だ。それに、自分の意思も持ち合わせている。

(さて、頑張らなきゃ)

これからどんな仲間に会うのだろう。

これからどんな任務が待ち受けているのだろう。

どんなに難しい任務でも変わらない。

ーどんなときでも、楽しく生きなさい

父が昔言った言葉を思い出した。

(楽しまなくちゃね)

新たな任務の始まりである。

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