第一部 忍者募集中?

|今日もいっぱい稼げた。これで冬は越せるでしょ)

そう確信していた。

「風花ちゃん、村長にこれを持っていってくれないかい?」

大きな荷物を背負っている少女は、この村の村長の娘、清水 風花しみず ふうか

「分かった。ありがとう、おじさん」

「ふう…。また不作か…」

「……」

不作。このときになるとよく起こる。

深々と降る雪と同時に、不安が降り積もった。

その不安は的中した。

「やめてください!!お役人さま!」

「お母さん?」

家に帰ると、母のこえが響いている。

(何があった…)

そっと覗いてみると、大きな男が何人もいる。

「お母さん!!」

怯える母。怖くて何もできない弟。

それらが目に映る。

「何をするんですか?!ここには、幼子と女しかいないっ!!」

あとから父が来た。何をやっていたのやら。

(遅すぎるんだよ!)

「何をしている!!私の家族に!」

登場は遅すぎたが、家族想いのいい父親だ。

「見ろ。この村は税を払っていない」

またあいつらだ。

「毎回、毎回言っていますよね?!うちは不作続きで税どころではない!!」

それ以上言っては殺される。

「待ってください!お役人さま!!」

こいつらが、役人でないことはあとから知る。

「なんだ。この小娘」

大男は怖い目つきで風花を見下す。

(ひるむもんか!)

「私が…」

「早く言え!!」

急かされる。怖いけれど、村と家族のためだ。

逃げられない。

「…私が、この税を補う。だから、もう少しだけ待ってください…」

風花は土下座した。

「こんなちっぽけな小娘が?」

ふざけんなっ、と殴られかけたが風花はそれを止めた。

「?!」

「ふっ。分かりました?」

大男たちはひるみ、その場を離れていく。

「ちょっと、仕事探してくる」

仕事はそこら中にある。街に出ればの話だが。

「気をつけ…」

母に見送られた。

「うん」

半刻(現在の一時間)もしたら街に出る。

街に出ると食べ物や、衣、書物…なんでも売っている。

「なんだ?あれ」

街の人たちが何やら騒いでいる。

「何か…あったんですか?」

優しそうな人を探し、聞いてみる。

「ああ、それがね。ここの将軍が、突然…忍者を募集しているんだよ」

こんなに堂々と募集するとは、おかしな将軍だ。

「高本将軍?」

高本たかもと将軍は、ここの領土を収めていて、とても優しいと評判の将軍だ。

きっと、すぐに集まるだろう。

「そうなんだよ。結構、お給金が高くってね」

「給金」につられた。

看板らしき物を見に行く。

(は?!行くに決まってんだろ!!)

普通に働いているだけではもらえない値段だ。

女も可、と書いてあったのでさっそく、城に行くことにした。

その勇敢な行動が、風花の人生を変える。



 

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